到着は午後1時頃で店はほぼ満員。近所の一人客が集っている感じで相変わらず穏やかな時間が流れていた。高野さんと奥様のオスギさんが笑顔で迎えてくれた。
席が空くまで店前の立ち食いコーナーに陣取り、生ビールを飲みながら、高野さんの近況などを聞いてみた。
店主おすすめの「酒繋ぎ蕎麦」を食べてみた
すると開口一番、「まずは酒繋ぎ蕎麦を食べてみてください」と猛アピールしてきた。今高野さんがハマっているのが日本酒を使って繋ぐ「酒繋ぎ蕎麦」だとか。通常「酒繋ぎ蕎麦」では、日本酒1に水4位を使うのが普通だが、高野さんはほぼ酒だけで繋ぐという。
「ヒジョーシキといわれるかもしれないけれど、やってみて旨ければそれはそれでアリですからね」と高野さんはいう。
さっそく「酒繋ぎ蕎麦のもり蕎麦」(1500円)を注文した。この日は新潟県上越市柿崎にある代々菊醸造の吟田川(ちびたがわ)の特別本醸造で打った酒繋ぎ蕎麦である。日本酒の種類で蕎麦の値段が変わるわけである。酔鯨(なかどり)で打った酒繋ぎ蕎麦は2200円もしたそうだ。繋ぎは酒のみなので、1回の蕎麦打ちで一升瓶の半分くらいは使ってしまうとか。太っ腹である。
酒繋ぎ蕎麦は上品な味
蕎麦の茹で時間は2分。酒は十分に抜ける。茹でている間にシイタケを炭火にのせて焼く。しばし待ってもり蕎麦が登場した。その美しい姿に感心する。十割蕎麦は以前より細くなったが十分に太い。蕎麦は熊笹にのり、小松菜、こんにゃく、自家製厚揚げ、焼きシイタケが添えられている。薬味は焼いたねぎ、おろしきゅうり、わさび。辛汁は本返しと高のの出汁でつくった絶品の味である。まず、蕎麦を岩塩で食べてみる。酒繋ぎ蕎麦は奥深い味がするように思うし、塩で食べるとうまい。お猪口に入ったぬる燗の吟田川の特別本醸造をいただく。蕎麦と相性がいいのはもちろんのことである。