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 焼きシイタケを噛むと芳醇な香りが口いっぱいに広がる。とにかくどの食材をいただいても滋味深い。ワシワシと食べる感じが少し上品になったように思うし、なんだか贅沢な蕎麦である。

もり蕎麦といっても普通のものとは全く違う
左上から岩塩、薬味(焼ねぎ、おろしきゅうり、わさび、辛汁、吟田川ぬる燗)
蕎麦湯も絶品

「養生料理 高の」は進化していた

 酒繋ぎ蕎麦だけでなく、コロナ禍にもかかわらずお店は随分と進化していることがわかってきた。

 コロナ禍による営業自粛期間の延長で、高野夫妻はお店のコンセプトや提供するメニューなどを見つめなおす時間がたっぷりとできたそうだ。

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「コロナ禍の淀んだ雰囲気に潰されるわけにはいかない。それをはねのけて、商品のレベルやサービスを上げていこうと心に決めた」そうである。

おもてなしでサービスされたじゃがいも風呂吹き
蕎麦湯を発酵させて瓶仕込み保存した蕎麦湯割り
進化を続ける高野夫妻

 そこでまず、高野さんは従来二八で打っていた蕎麦を挽きぐるみ十割蕎麦にすることを思い立った。

 仕入れ先の株式会社霧下そば本家の社長にも随分相談した。使用している蕎麦粉は細かく製粉されたタイプで、蕎麦粉は同じものを使用し、蕎麦打ちの方法をいろいろ試行錯誤したという。初めはうまく繋がらなかったそうで、随分と苦労したそうだ。少量の熱湯を使って繋ぐ方法なども試したそうだ。半年くらいで十割蕎麦の奥義を会得し、うまく繋がるようになったという。蕎麦の太さは少し細めになってしなやかな食感になっている。