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日本のそばの自給率はたったの20%…神奈川に「奇跡のそば畑」を作った男が始めた“すごいビジネス”

2022/06/21
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 神奈川県秦野市にある「丹沢そば本店」を最初に訪問したのは2020年5月末のことだった。「丹沢そば本店」は、そばの栽培から提供まですべて自社で行っているという稀有な存在なのである。

 あの幻のような広いそば畑を再訪しようと誓った日から2年が経過した。「丹沢そば本店」はその後どのような道のりを歩んできたのだろうか。6月最初の土曜日に訪ねてみることにした。

 午前11時過ぎ、小田急小田原線渋沢駅に降り立った。2022年4月16日に新東名高速道路が新秦野ICまで開通し、秦野地区は神奈川県でいま注目されている地域でもある。

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渋沢駅前から丹沢方面を望む

 開店直後の11時30分過ぎに着くと、「丹沢そば本店」代表取締役社長の石井勝孝さん(63歳)が駐車場の交通整理係をサボりながらやっているところだった。

「よお、よく来たな! 元気?」と気さくな挨拶が飛んできた。

オープン直後の「丹沢そば本店」
駐車場の交通整理をする石井社長

テレビで紹介され、全国に知られる存在に

 混雑する前にまず「丹沢そば本店」で「わさび大根おろしそば」を食べることにした。入店すると石井社長の娘の絵里子さん・翔子さんが笑顔で迎えてくれた。コロナ禍でもお店はがんばって営業を続けていたそうでなによりである。

 2021年10月16日にはテレビ朝日系列「ごはんジャパン」で、銀座の名店「てんぷら近藤」主人の近藤文夫さん、俳優の前川泰之さんとのコラボの様子が放映され、全国的にも有名になったという。

「その2日後の『帰れマンデー見っけ隊!!』でも、そば畑などが紹介され、お客さんが大勢来てくれるようになって、本当に有難いことだよ」と石井社長は嬉しそうにつぶやいた。