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「ドンッ」という音と共に落ちてきたのは…築50年ワケありマンションの臨時清掃を引き受けた作業員たちの末路

怪談和尚の京都怪奇譚 宿縁の道篇――「清掃」#2

2022/08/05

genre : エンタメ, 読書

note

 何故なら、私が清掃会社を辞めますと言った時、元上司はこう言われました。

「やはり次からは、このような依頼は受けない方が良いな」と。

毎日掃除していても、すぐに汚れてしまうもの

 昔、お釈迦様のお弟子さんに、周梨槃特と言う方がおられました。この周梨槃特は非常に物覚えが悪く、自分の名前も忘れてしまうような方でした。

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 ある時、周梨槃特は、お釈迦様の所へ行き、こう仰いました。

「私は、物覚えが悪く、みんなの邪魔になるので出て行こうと思います」と。

 それを聞いたお釈迦様は、こう言われました。

写真はイメージです ©iStock.com

「自分が愚かだと気づいている人は、決して愚かではない。自分は、賢いと思い上がっている人の方が愚かなのだよ」と答えられました。そして、周梨槃特に1本の箒を渡されました。そして、その箒で掃除をする様にと言われました。

 周梨槃特は毎日、毎日、何年も箒で掃除を続けます。そしてある時、あることに気がつきました。

 それは、「毎日、毎日同じ所を掃除していても、すぐに汚れてしまう。それは人間の心も同じだな」ということだったのです。

 私達は、身の回りの掃除をしながら、自らの心の汚れも掃除しなくてはなりませんね。

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「ドンッ」という音と共に落ちてきたのは…築50年ワケありマンションの臨時清掃を引き受けた作業員たちの末路

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