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安倍晋三さんの国葬と戦後政治史における統一教会から考えたい「動乱期の生き方」

2022/07/25
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 選挙期間中に凶弾で斃れた安倍晋三さんの国葬が、9月27日に日本武道館で行われることとなりました。その是非については、いまなお与野党の間で議論になっていますが、国葬は海外からの弔問外交をまとめて引き受ける仕組みとして機能すれば良いわけですから、「安倍晋三さんの功績は国葬に値するかどうか」だけで判断するのもむつかしいのではないかとも思います。

 国葬の実施にあたっては、その決断を珍しく岸田文雄さんが早々に下してしまったという点で「やればできるじゃん」という気もしないでもありません。

令和のいまも脈々と鼓動を続けている戦後政治史

 今回の安倍晋三さんの銃撃事件は、何とも残念で、衝撃的な事態となりました。

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 正直申し上げて、失ってみて初めて感じる安倍晋三さんの存在の大きさに直面し、私ですらしばらく呆然とし、信じられないなという気持ちで報道を食い入るように観ておりました。また、時間をかけて見れば見るほどに、私たちの戦後政治史というものがいかに令和のいまも脈々と鼓動を続けているかを肌身で感じさせることとなりました。

安倍晋三元首相 ©️文藝春秋

 私の親族も先の大戦に従軍しシベリア抑留を経験しており、また、その後もソビエト連邦との商取引に従事して関わり合いを長く持っていた一方、確かにソ連や中国と取引をしていた私の父親も共産党からの勧誘を一再ならず受けてきた経緯がありました。同様に、私が父親に手を引かれてソ連に渡った子どものころは、雲の上の人であった駐ソビエト日本大使館公使の丹波實さんや駐ソ外交官の皆さんは強烈に印象に残っており、やがて大人になってそれなりに情報を扱うようになってからは、いわば敵陣で専門家として危険と隣り合わせに外交窓口を担い、また情報収集の役割を果たした先人の豪胆さと知的な膂力に想いを馳せざるを得ません。

「カルト教団のやらかし」で連日批判されている統一教会

 今回問題となった統一教会(現・家庭連合)も、文脈としてはカルト教団のやらかしの側面が現在大きくクローズアップされて、連日批判の対象になっています。

 私が思うに統一教会は民主主義社会の現代においても、また過去においても最悪に近い行為を洗脳した信者に繰り返した犯罪組織の最たるものであり、いまからでもいいからすぐに断罪し、年間550億円とも600億円とも言われる日本から韓国への資金の流れを断ち、霊感商法だけでなくすべての献金・寄付についての資金授受はガラス張りにし、被害者や家族への賠償、救済は即刻道筋をつけるべきものだとも思います。

 また、統一教会に限らず、宗教団体と政治の関わりについては、特に自民党の選挙活動と密接になりすぎている部分については特に解消し、適切な形で良い距離感を持たせるためにどのような方策があるのかを真摯に模索するべきであろうとも考えます。