宗教団体と政治の関わり
我が国の憲法20条で認められた政教分離の原則は、あくまで国家が特定の宗教に対して便宜を図ったり、逆に弾圧したりという行為を禁じるものであって、特定の宗教の人が立候補したり、政党を作ったり、選挙を手伝ったり、政党や政治家に適法な範囲内で献金することを禁じているものではありません。
しかしながら、宗教二世問題に代表される事案や、統一教会から家庭連合に宗教団体の名称を変えるときに下村博文さんなど当時の文部科学大臣が改名を認証した件をめぐり「あれは自分の関わりはなかった」と全否定してしまう一件については、やはりきちんと調査するべきであろうと思います。
蛇足ながら、なぜか前川喜平さんが横から出てきて1997年当時文化庁宗務課長だったとカミングアウトして自分の時代は統一教会の名称変更を防いでいたかのようなアピールをしていました。が、統一教会が2015年8月26日、宗教法人を管轄している文化庁から改称を認証されるにあたり、下村博文さんが当時文部科学大臣だったのに対して、他ならぬ前川喜平さんは文化庁も担当している文部科学審議官で、前川さんも前川さんで統一教会の改称認証をスルーしとったんやでというツッコミを入れずにはいられません。どうして毎回こう間が悪いんでしょうね。
元日本船舶振興会の笹川良一さんにさかのぼる、ややこしい問題
さて、その統一教会と自由民主党の戦後政治裏面史については、まさに日本船舶振興会(現・日本財団)の笹川良一さんと朝鮮半島生まれの文鮮明さんとの間での誓約に基づいて、日本での共産主義勢力を排除するための「国際勝共連合」の結成(勝共連合:1968年成立)と、自由民主党・保守傍流であった清和会、とりわけ安倍晋三さんの祖父にあたる岸信介さんの政治的庇護を取り付けたあたりに大きなねじれを生んでいるのが、この問題のややこしさとも言えます。
戦前戦中、朝鮮半島は日本領(実効支配)であり、当時の日本の民族的保守という観点から言えば、朝鮮半島から満州にわたる広い地域が「精神的コアステート」であったことで、当時の日本の保守界隈が朝鮮と日本の間をあまり大きく分け隔てることなく「日本である」と認識していたことは理解をしておかなければなりません。