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ソビエト共産党からの組織的な資金援助を受けていた日本共産党

 その日本共産党は、宮本顕治さんや不破哲三(上田建二郎)さんの著述にも多く出ていますが、少なくとも勝共連合が成立する前後までは、ソビエト共産党からの組織的な資金援助を受けていたと見受けられます。これは、ソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦に国家が継承されるまでの1993年の情報公開(グラスノスチ)でソ連の対日外交録が公開になる中で、左翼労働運動基金ほか複数の他国共産党への資金援助や情報流通の内容が一部明らかになり、この中では当時日本共産党の組織ナンバーツーであった袴田里見さんや野坂参三さん相手に分かっているだけで85万ドル(当時・現在価値で言えば10億円以上)の資金が渡っていたと見られます。

 いわば、50年代から70年代にかけて、核戦争に繋がる破滅的な第3次世界大戦への緊張感を強く持つ米ソ冷戦の中で、日本は韓国とともに西側諸国側の砦として、世界的な共産化ドミノを防ぐ役割の一角を果たしていました。統一教会のような当時日本とある程度一体感のあった朝鮮半島の宗教団体と手を組んだ自民党も、ソビエト連邦から内々に資金援助を受け日本の赤化を進めようとした共産勢力も、米ソ対立の最前線にあった日本の政治や社会運動の水面下で大変な戦いを続けてきていたという背景は知っておくべきことだと感じます。

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80年代以降の、宗教行為を隠れ蓑にした悪質な経済行為

 そして、80年代以降、日本の経済成長が軌道に乗り、日本社会が繁栄を謳歌し始める中で大きな問題となったのはまさに統一教会の存在でした。霊感商法や破滅的な献金・寄付を信者に強要する形で一家を破壊し、強制的に日本人女性を韓国人と結婚させ、年間550億円以上と言われる資産を日本から韓国に移転させるという宗教行為を隠れ蓑にした悪質な経済行為です。これは、統一教会がカルト宗教だとして断罪されるものだけではなく、むしろ集団洗脳の手段を用いた重篤な経済犯罪だとも言えます。

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 かたや、当時の岸信介さんや日本財団が危惧した日本の共産化は社会問題として咀嚼され一服し、勝共連合の歴史的役割は本来ここで満了することになるのですが、その後も組織は残り、また、統一教会も00年代以降さらに自民党との結びつきを強めながら現在に至っています。