1ページ目から読む
4/4ページ目
中学生と教師の恋愛ものも…見事なバランス感覚
『石子と羽男』の新井順子プロデューサーと塚原あゆ子ディレクターのコンビ作品だと『中学聖日記』(TBS)。
これは中学生と教師の恋愛もので、倫理観を問われ世間からそしられる教師を演じたが、こういう役を演じていても、反転して特別なことをした人として神格化されることもないし、そのまま間違ったことをした人物として徹底的に貶められることもなく、あくまでも、社会の片隅に生きているひとりのように見える。
志尊淳と共にコロナ禍で懸命に生きていく人たちを取材したドキュメンタリーに挑んだ『人と仕事』で有村が「おりあいをつけて生きていくしかないと思いました」と感想を述べる場面がある。そのときの彼女の口ぶりと表情は、この常套句を、明るすぎず暗すぎず語り、これまた見事なバランスをとっていた。
諦めも知っているけど、諦めない。心がどちらにどんなに傾いても、ちゃんと0地点に戻す。自己管理を徹底するストイックなアスリートのような有村架純、2023年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK)では徳川家康(松本潤)の最初の妻・瀬名役で出演する。戦に翻弄される役を有村架純はどう演じるだろうか。