松浦亜弥のものまね“エアあやや”と「言うよね~」のセリフで、2000年代にブレイクしたはるな愛(50)。
20年以上にわたってニューハーフのタレントとして活動してきた彼女に、中学時代に体験した壮絶ないじめ、16歳で臨んだ睾丸摘出、我が子の“性”に否定的だった母との和解などについて、話を聞いた。 (全3回の2回目/1回目を読む)
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クラスメイトに、口に石灰を押し込まれ…
ーー現在のはるなさんからは想像できませんが、中学生の頃にいじめに遭われたそうですね。幼い頃から『紅白そっくり大賞』(フジテレビ、1984~1987年)など素人参加型の歌番組に出ていたことに対する妬み、番組では女の子の格好をしているのに学校では“男らしさ”全開でふるまっていたことに対する苛立ちをぶつけられたのではないかと、著書「素晴らしき、この人生」で仰っていますが。
はるな愛(以下、はるな) 中学に上がる時、母親から「男らしくしないと、中学に上がったらイジメられるよ」と言われてたんです。
それって自分らしさを隠すわけですけど、“男らしさ”という感覚や自分の立ち位置がわからない不安が、周囲に伝わっていたんでしょうね。私をいじめた子も、自分より弱い子を攻撃して自分の立ち位置を確立するしかなかったんじゃないかな。いま思えば、ですけど。
ーー周囲はいじめに気付いていましたか。
はるな いじめって気付かなかったりもするし、いじめる子って気付かれないようにやれるんです。先生の目の届かない場所に連れて行ったりして。体育館の用具室で、ガーッと髪の毛を掴まれて、ガーッと口に石灰を押し込まれたり。
気付いている子がいても、関わったらいじめられると思っちゃうし。「やめときや」とはなかなか言えないのが、学校という、警察のいない子供たちだけの社会なんですよね。
ーー親御さんには。
はるな 子供って親には絶対に苦労をかけたくないから、いじめられていることって言わないと思うんです。親に「いじめられてない?」と言われても、子供は「いじめられてない」って答える。
でも、どこかで気づいてほしいSOSは出しているんですよね。けれども、うちの親は夜働いていたり、お店をしていたりして忙しかったし、私にそこまで向き合えなかったところもあったし。私も私で、殴られたり、蹴られたりしてできたアザとか見せたくないから、親より先に寝ちゃったりね。ほんと、子供ってそういうことするんですよね。
あと私の場合は、性の部分が悪いからいじめられるんだと思われたくない気持ちもあって、親に言えなかった。