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ーー摘出手術は日帰りで、睾丸も持ち帰ったとか。 

はるな ダメージは大きくないです。摘出してもそんなに負担がかからない場所なんですって。 

 摘出したものは、お医者さんに「どうする?」って言われたんです。「いる?」って。捨ててもいいんですけどね。“へその緒”じゃないけど、自分の体の一部だし、なんか持って帰りたいなと思ったんです。で、ホルマリン漬けの瓶で渡されて。 

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ーー持ち帰った睾丸ですけど、お祖母様が大変な間違いを。 

はるな そうそう(笑)。ホルマリン漬けの瓶を渡されたけど「どうすんだろ?」って。お姉さんたちに聞いたら「冷蔵庫に入れて保存してる」っていうから冷蔵庫に入れておいたんですよ。そうしたら、おばあちゃんがラッキョウの瓶と間違えちゃった(笑)。 

 結局、取ったやつはお姉さんたちが大学病院に渡すことにしたので、私のも一緒に送りました。 

 

看護師さんたちが「わあ、私と一緒だわ」

ーー睾丸摘出から3年後、19歳で性別適合手術を受けられますが、実は日本では第一号となる手術なんですよね。大阪では施設が不十分だということで、他県の病院の手術室を借りたり、あちこちから医師が集められたりと、大変だったそうですが。 

はるな 時代も時代だったから、表沙汰にはできない手術でしたけどね。整形外科界隈ではニュースにはなっていたんじゃないですかね。 

ーー手術箇所の消毒をする看護師さんたちが股間を見て口々に「私と一緒だ」と。 

はるな 当時は病院で行われなかった手術だから、珍しかったんでしょうね。看護師さんが十数人も集まって「わあ、私と一緒だわ」「どっからどう見ても女性ですね」って驚いてたけど、それって成功したことですから、うれしかったです。 

ーー手術後、お姉さんたちからアドバイスみたいなものは。 

はるな 「手術の後って出血するから、生理用品使えるよ」って教えてもらった時は「ああ~」って。子供の頃、お母さんの生理用品を見つけて、綿を引っ張り出して「これはなんなんだろう」と不思議がってたのを思い出して。で、それを自分が使うことになるんだって。ちょっとビックリしたし、嬉しかったです。