落車事故のリスクについての思い
河内 はい。選手同士がぶつかるといったこともよくあるので、危険がないわけではありません。レースでは密集した空間を走るので、一人が落車してしまうと、周りの選手が巻き込まれてしまうことだってあります。でも、そこはプロ選手なので。リスクがあったとしても、良いレース、良い走りを見せたい思いが強いです。もちろん、皆さん体幹の筋肉がすごくしっかりしていたり、厳しい鍛錬を積まれて競輪選手になっているので、頻繁に落車事故が起こることはないんですけどね。
――競輪といえば、複数の選手と連携して仲間をサポートするようにレースを走る「ラインを組む」などの人間関係の絡んだ駆け引きも競技の魅力だと思います。
河内 男子の場合は、一つの開催に参加する選手人数がいっぱいいて、同じ地区同士だったり繋がりがある選手がレースに参加することが普通なんですが、女子の場合は一つの開催で14人しか選手が呼ばれないということもあって、男子のようにラインを組むことがないんです。完全に個人戦なんですよ。
――そもそもの話に戻るのですが、河内さんが競輪選手を目指そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
河内 一番大きなきっかけは、小学6年生のときに前橋競輪場で開催されていたガールズケイリンを見たとき、歓声だったり、盛り上がりだったりに感動して、自分もやりたくなっちゃったことですかね。
観戦翌日からローラー台(自転車のタイヤを樹脂製のローラーに当てて回すことで静止した状態で自転車を漕げる装置)に乗り始めていました。親戚が競輪選手だったり、父がかつて競輪選手を目指したりしていたので、たまたま家に練習機材があって。環境に恵まれていたんです。
――中学校に上がってからは部活として自転車競技に取り組み始められた。
河内 そうですね。ただ、サッカー部も無いような田舎の中学校だったので、自転車競技の部活があるというわけではなくて、いろんなスポーツをやっている人が集まって個々人で練習をする“自主トレーニング部”という部活に所属していました。平日はそこで筋トレをしたり、基礎的な運動をして、休日は外のコースを自転車で走るという日々でしたね。