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トンネル出口に「敬天愛人」! 鹿児島本線

 鹿児島本線は、九州初の鉄道路線で、九州の玄関口・門司港駅から博多や熊本を経て鹿児島駅までを結ぶ長大路線。かつては東京からの寝台特急も多数行き交う重要路線……だったが、2004年に九州新幹線新八代〜鹿児島中央間が開業したことで八代〜川内間が第三セクターの肥薩おれんじ鉄道に移管されている。なので、今の鹿児島本線は門司港〜八代・川内〜鹿児島の2区間に分断されたというわけだ。そして鹿児島県内を走るのは後者の川内〜鹿児島間である。

城山トンネルは出口に注目したい

そんなちょっぴりややこしい歴史を持つこの路線、末端部分の鹿児島中央〜鹿児島間では鹿児島の市街地を避けるように“城山トンネル”を通っている。歴史ファンならこの“城山”の名にピンとくるはず。そう、西南戦争の最後の激戦地で西郷どんが最期の瞬間を迎えた城山を、鹿児島本線は貫いているのだ。ここで見逃せないのは、鹿児島側トンネル出口。そこには、西郷どんが座右の銘とした「敬天愛人」の扁額が掲げられているのだ。近くには西郷どんが過ごした洞窟や“終焉の地”も。鹿児島の鉄道に、今も西郷どんは息づいている。

西郷どんの「敗走ルート」 肥薩線・吉都線

 鹿児島・宮崎・熊本の3県境付近を通る南九州山間部のこの2路線。もともと肥薩線が旧鹿児島本線、吉都線が旧日豊本線であり、古くから薩摩と熊本・宮崎への往来はこのルートを辿っていたようだ。それは西南戦争の折も同じ。肥薩線人吉駅付近は西郷軍の熊本進軍時と敗走時の2度経由。さらに、吉都線の中心駅である小林駅付近にも敗走時に2度経由して宿泊している。つまりは西郷軍の進軍・敗走ルートでもある。

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肥薩線を行く特急「やませみ」

 肥薩線は今ではSL人吉をはじめ観光列車も行き交う全国屈指の観光路線。球磨川の流れや日本三大車窓のひとつに数えられる矢岳越えなど、車窓の見どころもふんだんだ。吉都線は観光列車こそ走らないものの、車窓から見えるは霧島連山の雄大な山並み。これらの路線に乗って敗走する西郷どんに思いを馳せてみたいものだ。