いよいよ、『西郷どん』である。明治維新から150年の2018年、NHK大河ドラマは西郷隆盛を主人公に据えて、「愛に溢れたリーダー」を描くらしい。で、西郷どんと言えば薩摩、鹿児島。“本土最南端の駅”もある鹿児島の鉄道スポットを西郷どんにまつわるあれこれとともに紹介してみることにしよう。

西郷どん

西郷どんと一緒に流罪気分 指宿枕崎線

 ご存知本土最南端・JR最南端の駅である西大山駅を抱える路線で、鹿児島中央駅から薩摩半島の海側に沿うように走る。砂むし温泉でおなじみの指宿を経由してカツオ漁で知られる枕崎まで。開聞岳を望む最南端・西大山駅には中国人観光客が殺到中だ。

指宿枕崎線

 その指宿枕崎線では、山川駅付近の車窓に注目してほしい。このあたりからは海側に山川港を望むことができる。西郷どんは2度流罪になっているが、その2度ともこの山川港から流罪地に向かっている。さらに、1度目の流罪から召喚された際には枕崎を経て鹿児島へ。つまり、西郷どんは今の指宿枕崎線とほぼ同じルートを辿って鹿児島城下に戻ったということだ。シラス台地を駆け抜ける指宿枕崎線から見える開聞岳の姿は、今も昔も変わらないハズ。一旦終端の枕崎まで向かってから、開聞岳を見ながら鹿児島に戻り、西郷どん気分になってみてはいかがだろうか。

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薩摩藩の秘密研究施設ゆかりの地へ 鹿児島市電

 鹿児島市には市電が走っている。1912年に最初の区間が民営鉄道として開通し、1928年に公営化されて現在に至るという長い歴史を持つ路面電車だ。錦江湾方面への延伸計画もあり、銅像や生誕の地など、まつわるスポットを巡るなら確実に外すことのできない路線でもある。

鹿児島市電に乗って天文館に

 鹿児島、ひいては南九州随一の繁華街として知られる天文館にも市電は通る。この天文館、市電開通をきっかけに大正期に劇場や映画館が開場して発展していったという。それをさらに遡れば、その名の由来は1779年に第25代薩摩藩主島津重豪(しげひで)によって天体・暦の研究施設である明時館が設けられたことにあるとか。本来、幕府によって禁止されていたはずの暦の研究を、こっそり独自に続けていたという薩摩藩。幕末の雄藩となった礎は、現代の繁華街・天文館にあった――。そんな思いで路面電車に揺られてみるのもいいだろう。