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――「膣が緩んでいる」という感覚は、医学的にも正しいことが多いですか。

井上 膣圧計という、膣の締まり具合を客観的に数値で測れる測定器があるので、まずそちらで測定をします。通常の膣圧が約20mmHgとされているので、その値を基準に診断していきます。

 緩かった場合の対処法としては、骨盤底筋のトレーニングの他、ヒアルロン酸を膣に直接注入する方法があります。これによって膣内を隆起させて狭くし、希望の形状を作り出すことが可能です。施術は日帰りででき、患者さんの一例では、14 mmHgから23 mmHgまで膣圧が上がりました。

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膣の締まり具合を計測する「膣圧計」 ©文藝春秋

「理想の女性器」を作る施術も人気

――施術メニューにある「名器形成」とはなんですか。

井上 さまざまな種類のヒアルロン酸を組み合わせて“理想の女性器”を作るメニューです。

 これは医学用語でもなんでもないのですが、わかりやすい表現で言うと、大きく分けて「ヒダ系」と「締めつけ系」があります。膣の上部内壁にヒダをたくさんあるものは「数の子天井」、2箇所で締め上げるものは「俵締め」などという名称で患者さんに説明し、お好きなものをチョイスしていただいています。価格はヒアルロン酸の量によって変わり、20万~80万円くらい。「ヒダ系×締めつけ系」といった掛け合わせで注文される方が多いですね。

 ちなみに「名器」については諸説ありますが、「ミミズ千匹」など、性器に関する用語は江戸時代から存在していたそうで、女性器・男性器ともにかなり細かく分類されていたらしいです。

「名器形成」のメニュー表 ©文藝春秋

――性器整形は本来ものすごく「自分ごと」だと思いますが、介護者の迷惑にならないようにとか、パートナーに気持ちよくなってほしいといった、相手が動機になっていることも多いですよね。そもそも「名器」というワードも他人の評価あっての言葉ですが、患者さんの満足度は何で測られるのでしょうか。

井上 この手術自体は膣の内部の形を変えることが目的ですが、その際に使用するヒアルロン酸は水分を誘引するので、副次的に膣粘膜にうるおいをもたらし、濡れやすくなめらかになる効果が期待できます。男性を喜ばせたいという方も、結果的にご自身の満足につながるケースが多いです。あと、「名器形成」と同時に、Gスポットに直接ヒアルロン酸を打つことでより感度を高める「Gショット」をご希望される方も多いですよ。

 介護を見据えて小陰唇縮小手術を受けた方の話でいえば、相手の苦痛が自分の苦痛になる。だからその苦痛を取り除くことが自分のためにもなるというお考えだと思ったので、それはすごくいいことなんじゃないかなと僕は思いました。