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「主要国の中でほぼ“一人負け”」円安、インフレ…なぜ日本だけが賃上げできないのか?

「主要国の中でほぼ“一人負け”」円安、インフレ…なぜ日本だけが賃上げできないのか?

「大企業に期待するのをやめないと、この国に未来はない」経済座談会

note

「この程度の利上げで米国のインフレは抑えられる?」

小林 ただ、この円安も悪いことだけではない。海外から企業が戻って来るとか、海外からの投資が増えるとか、円安のメリットを生かした変化が起きて、いずれは経済が拡大するはずなので、今後も一方的に日本経済が傷んでいくことはないだろうと思っています。

安宅 為替の動きは本当に読めないですからね。僕は1997年から2001年まで院生としてアメリカに住んでいたのですが、その間1ドル145円から102円まで動きました。途中で、もう円は当面上がらないと、なけなしの貯金を一気にドル転して、当時最先端のパワーブックを2500ドルで購入した。その後、2ヶ月で20円ぐらい一気に上がったので、「勘弁してくれよ」と泣きそうになりました。

尾河 FRBによる利上げは、おそらくもう少し続いて3%台後半まではいく。ただ、私自身も、円安はそんなに大きな問題ではないと思っています。いずれ調整されて戻ってくる。問題は、「この程度の利上げでアメリカのインフレは本当に抑えられるのか?」ということです。

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安宅 利上げしても、アメリカはまだまだ景気が絶好調ですからね。今年7月の失業率は3.5%で、コロナ前の水準にまで回復しました。景気の過熱が抑制されているとは言えない。

安宅和人氏、河野龍太郎氏、尾河眞樹氏、小林慶一郎氏による座談会「『日本ひとり負け』戦犯は誰だ?」の全文は、「文藝春秋」2022年10月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

「主要国の中でほぼ“一人負け”」円安、インフレ…なぜ日本だけが賃上げできないのか?

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