「のど自慢」、紅白、親の死——。数々の友情秘話が初めて明かされた、上沼恵美子さんと天童よしみさんによる「幼なじみ爆笑対談『家に滝があるんですって?』」(「文藝春秋」2022年10月号)を一部転載します。
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芸能界の「幼なじみ」だった
上沼 よしみちゃんは今年で歌手デビュー50周年。おめでとうございます。ほんまにすごい。
天童 ありがとうございます。何十年もの歳月を経て語り合えるのは恵美ちゃんだけ。ほんまに幸せです。
上沼 よしみちゃんと私はほぼ同い年。いわば芸能界の「幼なじみ」です。共演は何度もしていますけど、2人で対談は初めてですよね。
天童 ほんと。夢のようで。
上沼 私もです。よしみちゃんとの思い出といえば伊丹空港。もう30年以上前ですけど、よく出くわしたんですよね。私は長男と東京へ行くところで、よしみちゃんは新曲のキャンペーンで全国飛び回っていて。
天童 恵美ちゃんはまだ小さい子供さんをおんぶしていました。
上沼 会うたびによしみちゃんは1万円手渡してくれる(笑)。「裸でごめんね。これで飴でも買(こ)うたげて」って。
天童 本当ごめんなさい(笑)。礼儀知らず、失礼でしたよね。
上沼 3回ほどいただきました。テレビ局で会っても「子供さん、大きくなった?」と言って、また1万円くれる。だから私、1万円目当てによしみちゃんに会えるのを楽しみにしていました(笑)。それは冗談ですけど、ほんま気前のええ方です。誰も1万円なんてくれません(笑)。
天童 私も他の人にはあげません。
上沼 ほんま? みんなにあげてはるのかと思っていた。
天童 いやいや、恵美ちゃんだから。知り合いに会うたびに1万円あげてたら破産します(笑)。
小学校時代「のど自慢」で鎬を削った仲
上沼 初めてお会いしたのは小学校時代の「ちびっこのど自慢」。私も歌手を目指していたんです。
天童 「のど自慢」系の番組のスタジオに行くと、必ず恵美ちゃんがいて。当時は橋本(旧姓)恵美ちゃんでした。今でも鮮明に覚えていますよ、服装も。
上沼 スカートの下から毛糸のパンツが見えていたでしょ。懐かしいわあ。母が編んだピンクの毛糸のパンツです。