天童 上背があってスタイルが良くて目立っていました。
上沼 よしみちゃんは、昔から歌が上手すぎた。ことごとく優勝をさらっていく「のど自慢あらし」ですよ。私も結構自信あったけど、スタジオで姿を見かけると、私も父も「アカン、よしみちゃんが来てるわ」って。
天童 『日清ちびっこのどじまん』(フジテレビ)は、私が第15代、恵美ちゃんが第16代チャンピオン。子供にとって「のど自慢」の楽しみって、親から優勝した時にもらうご褒美。何、買ってもらってた?
上沼 私はソフトクリーム。当時、地元の淡路島では売ってなかった。いろんなところで食べたけど、梅田の阪急デパート8階大食堂がいちばんやった。よしみちゃんは毎回優勝やから、たくさんご褒美にありつけたでしょ。
天童 はい。私は、かき氷、ミルク金時を食べさせてもらってたなあ。
上沼 『ちびっこのどじまん』のグランドチャンピオン大会で、一緒に東京で歌いましたよね。当然、優勝はよしみちゃん。悔しかったけど、私はあれで歌手をあきらめて芸人の道へ進むことにしたんです。
天童 一番になりたい、プロの歌手になりたい。そんな夢を恵美ちゃんと分かち合えたのはかけがえのない思い出です。
上沼 いやもう、全然レベルが違いましたから。
都はるみさんの大ファンだった
天童 恵美ちゃんは、都はるみさんの『よさこい鴎』を歌っていましたよね。難しい曲やけど、こぶしを回して見事に歌いあげていた。
上沼 はるみさんの大ファンだったんです。のちに何度か対談させてもらいましたけど、毎回緊張して、手が震えちゃう。それくらい特別な存在なんです。よしみちゃんは何を歌ったんでしたっけ?
天童 中村佳代子さんの『北海育ち』です。大ヒットした曲ではなくて、あるときラジオから流れてくるのを聞いた父が「これを絶対に歌ったほうがええ」と言って。
上沼 また選曲がにくいねん。あのころ憧れていた歌手は誰ですか。
天童 美空ひばりさん。8歳のとき、大阪・新歌舞伎座の「お夏清十郎」という舞台で共演させてもらった。子役に応募したら受かって。ラッキーでした。
上沼 当然、歌ったんでしょ?