手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫……昭和を代表する漫画家たちが若手時代に暮らした、伝説の木造2階建てアパート「トキワ荘」。その現代版ともいえる漫画家たちの一大シェアハウスが、2021年6月、東京・日野市に誕生した。その名は「多摩トキワソウ団地」。

 ここでは、漫画雑誌への掲載・連載を目指す漫画家の卵たちが共同生活をして過ごしている。彼ら彼女らは一体どんな場所に住み、どんな生活を送っているのだろうか?(全2回の1回目/2回目に続く)

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53名の漫画家の卵たちが共同生活を送る一大シェアハウス

 新宿からJR中央線で約40分ほどの場所にある日野市。都心から少し外れた東京のベッドタウンであるこの町は、多くの学生やファミリー層が住まう場所だ。JR豊田駅から8分ほど歩くと、株式会社リビタが運営する団地型シェアハウス・りえんと多摩平の一角に、「多摩トキワソウ団地」がある。

多摩トキワソウ団地の外観 ©三宅史郎/文藝春秋

 真っ白な外観の4階建ての団地は、全62室。築年数は進んでいるものの、内装はリニューアルされ、スタイリッシュで爽やかな印象だ。かつて3DKとして使用していた1ユニット内にある3部屋を、3人用の居住スペースに割り当て、水回りを共用スペースに仕立て直した間取りになっている。家賃は管理費込みで月額55,000円ほど。駆け出しの漫画家にとっては、ありがたい金額だ。

清潔感のある居室  
1階の共同キッチン

 1階のフロアには無料のシャワースペースやランドリールームも併設。共同リビング・キッチンは、食事や談笑の場として使われる。時折このスペースを利用して、イベントなども行われるそうだ。現在、ここで53名の漫画家の卵たちが共同生活をしている。