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「ダラダラと夢を見るのは良くない」入居期間は原則3年…“現代版トキワ荘”「多摩トキワソウ団地」がたった1年でプロ漫画家を輩出した背景

多摩トキワソウ団地 #1

2022/09/25
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漫画家の卵たちが抱えていた“問題”

「漫画家の卵たちは、何しろお金がない。漫画の技術を学べる専門のスクールがあっても、金額が高くて手が出せない人が多く……ゆえに、若手漫画家は独学率が高いのです。プロ漫画家のアシスタントになるという方法もありますが、アシスタントになるためには、一定のスキルがないとそもそも採用されないことが多いです」(菊池さん)

漫画家の卵たちは独学でスキルを学ぶ人も多いという

 加えて、一軒家型の共同住宅だと、1か所に居住できる人数に制限があるという課題も浮き彫りになっていた。

「やはり共同生活をする漫画家の卵たちにとっては、仲間が多ければ多いほどさらなる刺激になりますし、同じ目標を持って切磋琢磨することで、制作に対する向上心はもちろん、漫画家として大事な締め切り意識も芽生えます。この一連の過程で大きな学びを得られるのです。

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 一方で、一軒家型の住宅でも刺激はあったものの、一緒に競い合える人数がどうしても限られることが課題でした」(菊池さん)

住む・学ぶ・仕事を得るが一体となった「多摩トキワソウ団地」をオープン

 住まいの提供に加えて、仲間同士が高いレベルで切磋琢磨でき、現役のプロ漫画家や編集者から学べる環境を整えないと、本当の支援といえないのではないか——LEGIKAは支援活動を行うなかで、そう考えるようになっていく。

「プロ漫画家としてデビューする人を増やすため、私たちには“支援コンテンツの拡充”が求められていると思いました」(菊池さん)

現役のプロ漫画家や編集者から学べる環境を整える必要もあった

 新たな取り組みを模索しているタイミングで声をかけてきたのが、先述の株式会社リビタだった。リビタから「りえんと多摩平に団地の空き物件があるので、ぜひ活用しないか」との提案を受けたLEGIKAは、住む・学ぶ・仕事を得るが一体となった一大シェアハウス「多摩トキワソウ団地」をオープンするに至った。

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