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街は「歓迎」一色に彩られるが――

「開業まで2カ月もないのに大丈夫なのか」と、不安にさせる情景だった。

 さすがに、これはなんとかなったようだ。「開業までには完成します」と、武雄市役所のハブ都市・新幹線課、川内和也主任が断言する。

 むしろ、川内さんは「武雄にはこれまでなかった駅前広場です。イベントができるほか、集まって遊べる場所にもなるでしょう。ベンチに屋根を設けてWi-Fiの電波を飛ばし、電源も使えるようにするので、出張時の仕事や勉強にも利用できます」と顔を輝かせていた。

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武雄市役所の3階には新幹線が目の前に見える「トレインビューテラス」がある

 市役所の庁内では、多くの職員が「武雄温泉-長崎 開業」と背中に刷り込んだTシャツを着ていた。「2022.9.23」と開業日を記した携帯電話のストラップは全職員が首から下げている。

多くの職員が「開業」を祝うTシャツを着ている(武雄市役所)
武雄市職員が首から吊るしている「開業」ストラップ
武雄市役所の受付には開業を祝う漫画の透かし絵が張られていた
武雄市役所の入口にも「開業」を祝う裝飾がなされていた

 武雄のまちを歩くと、「歓迎」一色に彩られていた。

「CHANGE TAKEO 生活が変わる まちが変わる」と赤地に書かれた横断幕。同じキャッチフレーズが入った赤い小旗も多くの商店に掲げられていた。

多くの商店が「開業」を祝う小旗を掲げている(武雄市内)

 それにしても、まちじゅうに張り出された「変化」とは何を意味するのだろう。

武雄市役所の明るい見通しには理由がある

 川内さんが説明する。「まず、新幹線が走る光景が見られるようになります。武雄温泉駅で下車する人が増えれば、賑わいも生まれるでしょう。そうなれば、まちは変わっていくのではないでしょうか」。

 市役所の目算には理由がある。武雄温泉駅は新幹線が通るだけでなく、特急も大増発になるからだ。

ようこそ西九州の玄関口へ」と書かれた横断幕(武雄市内)

 前述したように、これまでの武雄温泉駅は佐世保線の在来線駅だった。特急は博多-佐世保間を走る「みどり」などが1日に32本停車していた。

 それが博多方面だと、新幹線にリレーする特急が増発されるので計66本と2倍の本数になる。

 反対方向の佐世保方面へは32本が維持される。

 加えて従来は直接行けなかった長崎方面を西九州新幹線が結び、これは44本となる。

「新幹線ができるまで、武雄温泉駅から長崎駅へ行くには、佐世保線から長崎本線に乗り換える必要があり、乗車時間だけで約90分も掛かっていました。それが最速の新幹線だと23分で行けるのです。博多方面へも1時間に1本の特急だったのが2本に増えます」と、川内さんは息を弾ませる。

 鉄道交通の充実は、市に何をもたらすのか。