昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

《なんで野球部の応援のために吹奏楽部が客席で応援するの?》甲子園応援を「練習」を理由に見送った聖光学院ブラスバンド部の決断と影響

#1

2022/09/17

genre : ニュース, 社会

 この夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)がクライマックスを迎えようとしていた8月19日、学校教員を名乗る人物のツイートが大きな話題になっていた。

《なんで野球部の応援のために吹奏楽部が客席で応援するの? じゃあ吹奏楽コンクールの応援に野球部も客席で素振りしなよ》(Twitterより)

 このツイートは既に閲覧できなくなっており、発言者の真意は分からない。しかしどうして吹奏楽部が野球部に協力しなければならないのか。数ある運動部の中でもなぜ野球部だけが特別扱いを受けるのか——。そういった心の内側に抱えていた不満が爆発した形だろう。

聖光学院ブラスバンド部の応援風景 ©柳川悠二

 コロナ禍でブラバン応援が禁止された大会もあったが、今年は50人という演奏者の人数制限こそあったものの、平時の応援風景が戻ってきていた。地方大会でさえ、1回戦から吹奏楽部を動員して全校応援をする学校も多い。

 甲子園では國學院栃木がドボルザークの『新世界より』を荘厳に演奏してナインの3回戦進出を後押しし、大阪桐蔭は相変わらず大人数の編成で最新の曲を奏で、高校野球ファンの心をわしづかみにしていた。

 だが、野球部だけを特別扱いして応援を強制する学校の姿勢や高校野球ファンの雰囲気に、嫌悪感を抱く吹奏楽部(ブラスバンド部)の部員や教員がいても無理はない。

コンクールではなく「練習」を理由に応援見送り

 そんな中、今年の甲子園でただ1校、ブラスバンドの生演奏ではなく事前に録音された音源を流して応援した学校がある。福島の聖光学院だ。

聖光学院の野球は過去20年で16回夏の甲子園に出場している ©時事通信社

 同校のブラスバンド部は、甲子園1回戦の日大三高(西東京)戦ではアルプス応援を実施したものの、2回戦からは「学校での練習」を理由に甲子園を離れ、同校史上初めて進出した準決勝の仙台育英(宮城)戦にも姿を見せなかった。

 コンクールと日程が重なったり、2019年春の東邦(愛知)のようにアメリカ遠征の日程と重なってアルプス応援を取りやめるのは聞いたことがあるが、「学校での練習」を理由に甲子園での応援を見送るのはレアケースだ。

 なぜ聖光学院のブラスバンド部は甲子園での演奏をやめたのか——。

 その理由を尋ねるために、福島県伊達市の同校を訪ねた。対応してくれたのはブラスバンド部顧問の梅野和生(かずき)教諭(36)だ。

z