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本物のマフィアからの脅迫、俳優や監督はクセ者ぞろい…新米プロデューサーは名作『ゴッドファーザー』をいかにして作ったか

2022/09/20
 

 映画史に残る不朽の名作『ゴッドファーザー』。公開から50周年を迎えた今も「オールタイム・ベスト」「最高の一本」に推す声が多い、紛うことなき傑作だ。この作品の誕生前夜を描いたドラマが『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』(U-NEXTで独占配信中)。実話を基にしたその内容は想像を絶する七転八倒の連続だ。

 主人公は映画の製作を務めた実在の人物、アル・ラディ。前職はコンピューター技師で、当時はTVコメディードラマと低予算映画を一本製作しただけの新米プロデューサーに過ぎなかった。武器は度胸と門外漢ゆえの蛮勇のみ。そんな彼にマフィア一家の半生を描いたベストセラー小説『ゴッドファーザー』の映画化が託される。400万ドルという低予算で担当する製作者が他にいなかったからだ。彼は本を読んでもいないのに2つ返事でその任を引き受ける。

©佐々木健一

 ところが、程なくして小説でマフィアとの関係を仄めかされた歌手フランク・シナトラや本物のマフィアから製作を中止するよう嫌がらせや脅迫を受けるようになる。身の危険を感じる日々……。一方、監督に抜擢された俊英フランシス・F・コッポラはまだ監督としての実績は乏しく、そのくせ金のかかるNYやシチリアでの撮影にこだわる。主演のマーロン・ブランドは名優だが扱いづらい変人として知られ、ハリウッドで半ば干されていた。もう1人の主演アル・パチーノは当時ほぼ無名の舞台俳優で、映画会社の上層部から代わりにスターを出演させるよう度々迫られた。

 だが、結果はご存じの通り。どれ一つ欠けても我々が知る名画は誕生しなかったのだ。後がなく追い込まれた者、何者でもない者たちが『ゴッドファーザー』という映画に結集し“奇跡”を起こした。彼らの気骨と関係者の「良いものは良い」と思える実直さに胸が熱くなる。伝説誕生の瞬間を疑似体験できる痛快作だ。

『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』
https://video.unext.jp/title/SID0070634

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