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「もうダメだ、ツラすぎる…」思いつめた少女が香港でジャッキー・チェンに抱かれ、芸能界入りするまで

中川翔子デビュー20周年記念インタビュー#1

2022/10/08

genre : エンタメ, 芸能

note

 ジャッキーのサービス精神は健在でした。たとえば舞台の裏で花束を持って出番を待っていた時。裏には私とスタッフさん一人とジャッキーの3人しかいなかったんです。部屋も暗くて、裏だから誰も見てないんですよ。でも、ジャッキーは「1時間しか眠れなかった、アハハ」とか言って、その場を和ませてくれて。そうかと思えば、部屋に私とスタッフさんのお水が置いてあって、そのお水で曲芸みたいなことをしてくれて。その時の私たちを喜ばすためにやってくれたんですよね。もう「神かっ!」って。

 私も、イベントでジャッキーに会えるとわかってから、あらかじめプレゼントを用意していたんです。何でも持ってるだろうし、迷いながらも精一杯の気持ちでプレゼントして。そしたら「ありがとう。でも、二度とこんなことしないでね。次は現金で頂戴。それを全部寄付するから」って。やっぱり「神かっ!!」って。

©中村和孝/講談社

 さらに「ショウコ、終わったらみんなでご飯行くから、良かったらおいで。お母さんも一緒にいらっしゃい」って言ってくれたんです。私と母がジャッキーのレストランで一緒だったことを覚えていてくれたんですね。それで号泣しちゃったんですけど。

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僕も昔、全然ダメなやつだったから。その罪償いなんだ。恩返しなんだ

――16歳の誕生日のことを、覚えてくれていたと。

中川:その後、ジャッキーのインタビューが始まって、分刻みで次から次へと質問に応えていって。インタビューが終わったあとも「ショウコ、ちょっとおいで」って呼ばれたんです。現場では、お水を飲む時間も無くて、口をつけなかったペットボトルをそのまま置いていて。

 するとそのお水を渡されて、そのまま一緒に部屋の隅っこまで行って、ジャッキーが観葉植物にお水を注いでるんです。「中国には、まだ干ばつで水がろくに飲めない村もあるんだよ。だから今、君はもったいないと思った水を植物に与えたから、いいことしたんだよ」って。もう「天使かっっ!!」って。そんな発想ないじゃないですか。どうしてそんなに人のことばっかり考えて、色々出来るのか聞いたら、「僕も昔、全然ダメなやつだったから。その罪償いなんだ。恩返しなんだ」って仰っていて。

 その後、みんなで六本木の『瀬里奈』というお店に行ったんです。スタッフさんも10人くらいいて、長いテーブルがあって。ジャッキーが一番疲れてるし、一番主役なのに、みんなの椅子を引いてあげて、みんなにエプロンつけてあげてるんですよ。かにしゃぶだったんですが、みんなに身を取ってくれて。自分は殻についたカスみたいなやつを食べてて。もう何から何まで天使過ぎて、何も言えなくなっちゃって。ほんとうに、もうすごいなって思いました。

撮影 釜谷洋史/文藝春秋
スタイリング 渡邊アズ
ヘアメイク 灯
衣装協力 Adonisis(お問い合わせ先 06-6532-2441)

中川翔子写真集 ミラクルミライ

中村 和孝 ,中川 翔子

講談社

2022年6月8日 発売

 

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

「もうダメだ、ツラすぎる…」思いつめた少女が香港でジャッキー・チェンに抱かれ、芸能界入りするまで

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