ジャッキーのサービス精神は健在でした。たとえば舞台の裏で花束を持って出番を待っていた時。裏には私とスタッフさん一人とジャッキーの3人しかいなかったんです。部屋も暗くて、裏だから誰も見てないんですよ。でも、ジャッキーは「1時間しか眠れなかった、アハハ」とか言って、その場を和ませてくれて。そうかと思えば、部屋に私とスタッフさんのお水が置いてあって、そのお水で曲芸みたいなことをしてくれて。その時の私たちを喜ばすためにやってくれたんですよね。もう「神かっ!」って。
私も、イベントでジャッキーに会えるとわかってから、あらかじめプレゼントを用意していたんです。何でも持ってるだろうし、迷いながらも精一杯の気持ちでプレゼントして。そしたら「ありがとう。でも、二度とこんなことしないでね。次は現金で頂戴。それを全部寄付するから」って。やっぱり「神かっ!!」って。
さらに「ショウコ、終わったらみんなでご飯行くから、良かったらおいで。お母さんも一緒にいらっしゃい」って言ってくれたんです。私と母がジャッキーのレストランで一緒だったことを覚えていてくれたんですね。それで号泣しちゃったんですけど。
僕も昔、全然ダメなやつだったから。その罪償いなんだ。恩返しなんだ
――16歳の誕生日のことを、覚えてくれていたと。
中川:その後、ジャッキーのインタビューが始まって、分刻みで次から次へと質問に応えていって。インタビューが終わったあとも「ショウコ、ちょっとおいで」って呼ばれたんです。現場では、お水を飲む時間も無くて、口をつけなかったペットボトルをそのまま置いていて。
するとそのお水を渡されて、そのまま一緒に部屋の隅っこまで行って、ジャッキーが観葉植物にお水を注いでるんです。「中国には、まだ干ばつで水がろくに飲めない村もあるんだよ。だから今、君はもったいないと思った水を植物に与えたから、いいことしたんだよ」って。もう「天使かっっ!!」って。そんな発想ないじゃないですか。どうしてそんなに人のことばっかり考えて、色々出来るのか聞いたら、「僕も昔、全然ダメなやつだったから。その罪償いなんだ。恩返しなんだ」って仰っていて。
その後、みんなで六本木の『瀬里奈』というお店に行ったんです。スタッフさんも10人くらいいて、長いテーブルがあって。ジャッキーが一番疲れてるし、一番主役なのに、みんなの椅子を引いてあげて、みんなにエプロンつけてあげてるんですよ。かにしゃぶだったんですが、みんなに身を取ってくれて。自分は殻についたカスみたいなやつを食べてて。もう何から何まで天使過ぎて、何も言えなくなっちゃって。ほんとうに、もうすごいなって思いました。
撮影 釜谷洋史/文藝春秋
スタイリング 渡邊アズ
ヘアメイク 灯
衣装協力 Adonisis(お問い合わせ先 06-6532-2441)
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