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 そこからでしたね。お仕事が忙しくなっていったのは。やっと18くらいから忙しくなって、自分が自分でいられるような場所に出会った気がします。

学校も仕事もダメ。そんな私の原動力は…

――そもそも、元々ブログをお仕事にするつもりではなかったんですか?

中川:全然なかったですね。仕事にしようと思って始めたら、どこか邪念が乗っかるような気もするし。若さというか半分勢いで始めたんですけど、今思うとラッキーだったなって思います。

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 原動力はずっと「生きた証を残したい」なんです。私は学校もダメだったし、仕事もずっとクビになりそうで、今死んだら何も残らないって思ってたんですね。卒業アルバムもちょっとしか映ってないし、私が生きていた証はどこにも残らないなって。父は早く亡くなっちゃったけど、歌手だったのでCDとか写真は少し残っていて。でも、何者でもない私は誰も思い出さないと思ったとき、何か遺書的な、一生残ることはしておきたいって。どこかすがるような気持ちで写メールの日記やりたいって思ったんです。猫の生きた証も残したかったし。

 それに、今は世界的にアニメとかオタク文化も馴染んでいって、「アニメ最高じゃね?」って堂々と言えるようになりましたよね。そもそも、趣味が無い人より、何かを極めて好きなことしてる人たちって、人類として勝ち組じゃないですか。20年前と比べると今は価値観が大きく変わっていますよね。今はみんなに推しがいるとか、トレンドにもアニメ入ってますから。もっと100年前からこうあるべきだったと思いますよ。

©中村和孝/講談社

何かに救われたことは何度もありました。一つ一つのことに本当に感謝しています

――ネットで救われた人がたくさんいそうですね。

中川:いつもギリギリのときに奇跡が起きるというか。ネットでも息をしやすくなったし、ブログをはじめてどんどん自分の世界が広がって、自己肯定感も少しずつ上がったりして。今まで、もう駄目だなってギリギリまで落ちたときに、何かに救われたみたいなことは何度もありましたね。それが私の場合はネットだったり、人だったり。そういった一つ一つのことに本当に感謝しています。

撮影 釜谷洋史/文藝春秋
スタイリング 渡邊アズ
ヘアメイク 灯
衣装協力 Adonisis(お問い合わせ先 06-6532-2441)

中川翔子写真集 ミラクルミライ

中村 和孝 ,中川 翔子

講談社

2022年6月8日 発売

 

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。