――学校とは違う世界が見えた。
中川:朝が来るのが嫌だから、夜中じゅう起きてネットサーフィンしたり、チャットしたりしていて。ネットの中では、絵とかアニメ、まだオタクという言葉が虐げられている時代に、自分の好きな話をしている人とか、自分の趣味のホームページを作る人とかたくさんいて。
始めは見ているだけだったんですけど、そのうち自分でも何かやってみたい。ネットで写真と日記みたいなものを書いてみたいって思うようになって。たぶん、有名な女優さんとか、売れてる人ならダメって言われたかもしれないけど。私は私は当時全然仕事がなかったので、。当時のマネージャーさんに相談したら、「あぁどうぞ」って感じでした。
2億PVくらいアクセスをしてもらえて。やっと息できるじゃんって
――ある意味、新しいことへのハードルが低かったというか。ブログも当時はかなり最先端でしたよね。
中川:ブログという言葉すら無かったですね。はじめは、自分は何をやってもダメだとか、この世界を呪うようなことを書こうと思ったんです。でも、書いてるうちに嫌な気持ちをもう一回反芻するし、しかも残るんだよなって。たぶん誰も見てないだろうけど、万が一誰かが見たら「暗っ!」って感じるなって。それよりも、学校では中々言えなかったアニメやコスプレの話、アニソンが好きとか自分の趣味や好きなこと、楽しいことを全部ぶちまけよう。明るい遺書にしてやろうって思ったんです。それでいざ始めて、一日何回も書いて、何十回も更新していたら、だんだん自分で書いた言霊に救われてきたんですよ。徐々に明るくなって、「え、なにこれ、楽しいんだけど!」って思えて。さらに続けていると、なんと学校では出会えなかった人とか、共感してくれる人が大量に現れてきたんです。「わかる、私これ好きなんです! でも言えなくて」って。PVも2億アクセスくらいバーン! と上がって。なんだ、これでやっと息できるじゃんってなって。
――反響がすごいですね。
中川:びっくりしますよね。それに、最初に悪口とか書かなくて良かったなって、ホント思いますね。自分が書いたことって、自分に返って来る気がするんです。私は自分が好きなことばかり書いていて。たとえば「深海生物が好き。いつか深海に行きたいな」って書いたら、2年後に本当に潜水艦で深海に潜れたり。「アニソンを歌うことがすごく幸せ」と書いたら後で叶ったり。「お前のブログはデスノートじゃなくて、ドリームノートだな」って当時のマネージャーさんに言われました。