実は、ほとんど現実になっていて、これが実現すれば、今ある設備を変更することなくすべての乗り物を動かすことが出来るそうだ。
勿論二酸化炭素は出るが、元々空気中にあった二酸化炭素から作られた燃料なのでプラスマイナス「0」。
「そらりん」で船や飛行機を動かすために、村木氏は既に1級小型船舶の免許を取得。2021年には日本半周の船の旅に出た。パイロットの訓練も最終段階にきている。
また、石油代替燃料が作れるということは、そこから金属以外の身の回りのものを何でも作れることができるそうだ。
例えば、“二酸化炭素から作った石油”からでも服が作れるということに。
「ゴミだと思ったり、敵だと思っていた二酸化炭素が、実は、可能性の塊!この世界のすべてを作るブロックみたいになっている」
2021年のCOP26では、産業革命以前に比べて世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えることが世界目標となった。既に、1.1℃上昇しているので0.4℃で抑えなければならない。そのためにCO2の排出量を2030年までに約50%削減、さらに2050年までに実質「0」にする必要がある。いわば待ったなしの状況だ。
きっかけは、火星に行きたい!
村木氏が炭素回収の研究を始めたのは、2010年。祖父からもらったホーキング博士の著書「宇宙に秘められた謎」を読んで火星の魅力に取りつかれたのがきっかけだという。
「地球以外で人間が住める可能性が一番高いのが火星だと書いてありました。どうしたら火星に住めるんだろうと考えました。そして“火星の夕日は青い”と知り、その神秘的な光景を僕が一番最初に見たいと思って色々調べ始めたんです」
調べるうちに、火星は空気中の96%が二酸化炭素だということを知った村木氏。そこから二酸化炭素を“回収”する道を子供ながらに探し出すようになったという。
「中学2年生の時、気候工学の研究者の人が書いた本を読んで、温暖化ってこんなに大変なことになっているんだ。逆に、僕が今まで研究してきた二酸化炭素を集める研究が地球を守るために役に立つんだと気づいたんです。それからは、“地球を守り火星を拓く”というスローガンを両軸に据えて研究しています」