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 こうしたファン同士の交流も推し活の楽しさのひとつ。VTuber本人や運営がかかわらない形での推し活には、著作権などセンシティブな問題も付きまとうが、今のところファン間の良識もあって大きな問題にはなっていないようだ。

「もちろん版権元からガイドラインが示されていれば、それがその作品の二次創作のルールになりますし、そもそもファン間の即売会の中で利益を得てはいけないという大前提が暗黙の決まりとしてあります。

 即売会の界隈は、そのサークルが何か制作活動をした際に、買う側は頑張った労力と印刷代や制作費用をサークルに対して還元するというスタンスで成り立っているので、基本的に利益はあまり考えてないんです」(田沢さん)

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スパチャのコメントは、「読む」派と「読まない」派が

 VTuberは現実世界のアイドルと違って握手会のような肉体的な接触はないので、ネット生配信でのコメントやスーパーチャットを介したコミュニケーションがメインとなっている。では、ファンはスーパーチャットでお金を払うことに関してどう考えているのか。

「スーパーチャットを投げる目的として、配信者にコメントを読んでもらえるというのがあります。ただ、これは配信者によりけりで、スーパーチャットを読む配信者と読まない配信者がいるんですね。

 これは一概にどちらがいいというものではなくて、読む人は投げてもらって嬉しいし何かしらお返しをしたいという気持ちだろうし、読まない人は、それによって配信の流れが中断されてしまうのが嫌だったり、お金を投げない他のリスナーと区別をしたくないという気持ちなんだと思います」(高山さん)

©️iStock.com

 VTuberのスパチャに対する対応は、配信中にコメントを読むタイプ、読まないタイプ、配信の最後に読む時間を作るタイプ、別にスーパーチャットのお礼枠というのを取るタイプと、大きく4つほどに分けられるという。

「結局、投げる側が何によって満たされると感じるかですよね。推しにコメントを読まれることで満たされる人もいれば、チャットで時間を取られるより、推し自身の空間を楽しみたい配信重視の人もいる。その辺りは個人によるんじゃないかと思います。

 私の推してる月ノさんは、スーパーチャットを読まないタイプなので、スーパーチャットを送る時には、これによって推しの生活が楽になるんだろうという気持ちで投げています。物販などでグッズを買うことで間接的に支援しようという考え方に近いかもしれない。実際、月ノさんの配信だと、配信が終わって『さようなら』と言ってから毎回3万円くらい投げている人もいますからね」(高山さん)