「あくまで私の認識ですが、VTuberが出てきた最初の頃は、有名なキズナアイさんなどをはじめとして、動画による活動に主軸を置いている配信者が多かったです。それが月ノ美兎さんが出てきた辺りから、配信が活動の中心になってきました。
現在はホロライブというグループとにじさんじというグループの2つが中心になって盛り上がっている印象です。このふたつは『企業系』と言われていて、それとは別に組織には属さずに活動をしている『個人勢』も多いですよ」(高山さん)
大々的に活動する「企業勢」、個性の強い「個人勢」
ホロライブは「カバー株式会社」、「にじさんじ」は「ANYCOLOR株式会社」という企業が運営している。このように大手の企業のバックアップを受けて大々的に活動するVTuberが増えている一方で、個人勢も根強い人気だ。
「個人勢については、結構昔からやっている人も多いです。一時期は1万人以上のVTuberが活動していましたから、比率で言えば個人勢の割合はけっこう高い。有名なところだと名取さなさんとか天開司さんとかですね。
もともと最初の頃のVTuberはほとんどが個人勢だったし、企業勢はコンプライアンス的な制約が結構あったりしますが、個人勢は基本的にそれがないので、より自由な配信をされている方が多いという印象です。たとえば日雇礼子さんという個人勢のVTuberがいるんですけど、この人は西成のあいりん地区で日雇い労働者をやっていた経験があって、ドヤ街の映像を出しながら自分の経験を絡めた話をしたりする。
ハードな話だけじゃなく西成の安くておいしいお好み焼き屋さんの話があったりと興味深い。映像もちゃんと自分で撮ったものを自分で編集してモザイクをかけたりしたものを使っています。やっぱり知らない世界の話は聞いていて面白いです」(高山さん)
高山さんが推すVTuberグループ「にじさんじプロジェクト」には約150名のVTuberが所属しているのだが、その中で「月ノ美兎」を推すようになった魅力は何だったのか。
「一番強いのは雑談です。月ノさんは過去に色々な経験をしていて、例えばその辺の路上で自分の描いた絵を1億円で売ったりとか、よく分からない活動をたくさんしているんです。もともと芸術系出身だそうですが、そういう変わった人生経験の話がたくさん出てくるところが人間性も含めて面白い。
自分から面白いことを色々探しに行く企画もあって、最近だと『大喜利セミナー』なるイベントに参加して、その様子を、自作の紙芝居を使ってレポートしたり。3DCGのVTuberが2Dの紙芝居を使うのも面白かった」(高山さん)
VTuberの提供するコンテンツはリアルの配信者らと大きな違いはない。生放送を中心とした雑談やゲーム実況、楽曲やイラストの公開やカラオケ配信と他グループとのコラボも活発だ。では、VTuber独自の魅力はどこにあるのか。