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死後の世界の存在はどこまで判明している…? ダライ・ラマ14世が「死ぬのが楽しみだ」と語っていた“納得の理由”

『死は存在しない』より #1

2022/11/18
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 死後、我々はどうなるのか。「肉親」と再会できるのか。「前世の記憶」「輪廻転生」は、全くの迷信なのか……。これまで世界では、宗教、科学、医学など、さまざまな観点から“死”に関して語られてきた。

 そんな“死”に関する説に、いま最先端量子科学の世界では新たな見解が生まれている。

 科学的・合理的な思考によって捉えた“死後の世界”とはいったいどのようなものなのか。ここでは、原子力工学博士であり、経営学者としても活躍する田坂広志氏の著書『死は存在しない』(光文社新書)の一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

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人類にとって最大の謎、人生における最大の疑問

「死」とは何か。

 それは、人類にとって「最大の謎」であり、人生における「最大の疑問」であろう。

 言葉を換えれば、我々人間には、誰にも、その心の奥深くに、次の「問い」がある。

「人は、死んだら、どうなるのか?」

「死んだ後、我々の意識はどうなるのか?」

「死後の世界はあるのか?」

「死後の世界があるならば、それはどのようなものか?」

 そして、この問いに対して、古今東西の思想家や宗教家、科学者は、様々な考えを述べている。

©iStock.com

 まず、「死後の世界」が存在することを明確に語っている宗教家の一人が、チベット仏教の最高僧、ダライ・ラマ法王14世である。

 彼は、人間は死んだら他の誰かに生まれ変わるという「輪廻転生」の思想を信じる立場から、あるインタビューで、飄々としたユーモアを交え、しかし、堂々と、こう答えている。

「次は、どのような人間に生まれ変わるのか、そのことを考えると、死ぬのが楽しみだ」

 これに対し、この「死とは何か」という問いに対する答えを婉曲に避けた考え、すなわち、「死後については分からない」という考えを述べたのが、儒教の始祖、孔子である。

 彼は、次の言葉を遺している。

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