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島根県の山深くにポツンと佇む“激渋レストラン”…猟師が振る舞うイノシシ料理が絶品すぎた

島根県の山深くにポツンと佇む“激渋レストラン”…猟師が振る舞うイノシシ料理が絶品すぎた

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大きなフックに吊り下げられた巨大なイノシシ!

 店先を観察していると、店主の今田さんとお店のスタッフである稲沢さんが迎え入れてくれた。

 お店に到着するまでの道中、インター線改築に伴う通行止めで道を迂回したこともあり、到着が当初の予定より遅れてしまったにもかかわらず、稲沢さんは「あちゃ~、通行止めのこと、教えてあげとかんといけんかったねえ! ごめん~!」と声をかけてくれる。こうしたあたたかさが旅先ではなんとも嬉しいものだ。

 そして、ジロジロと店先を眺めていた私たちを見かねてか、店先に並ぶ品々について丁寧に説明してくれた。

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「そのヘビが入っとるやつはマムシ酒じゃね。お客さんが持ってきてくれたり、散歩中に拾ったり、農作業中に見つけたりしたマムシを捕らえて漬けとるんよ。商品として売ることはないけど、興味を持ってくれたお客さんに振る舞ったりしとるね。

二日酔いに効果てきめんだというイノシシの胆のう

 黒いやつはイノシシの胆のう。命をいただいとるわけだから、無駄なところを残しとうないんよね。東北のマタギが取る熊胆と同じような具合で、胃腸薬っていう感じで言い伝えられとるね。二日酔いでお店に辿り着いたお客さんに飲んでもらったら、ものの数秒で『あ、すっきりした……』なんていうこともあったくらい」(今田さん)

屠られたイノシシと今田さん。イノシシの大きさがよくわかる

 無駄なところを残さない。命を無駄にしたくない……。そのために、普段今田さんが作業を行う、陽氣な狩人併設の「弥栄町獣肉加工処理施設」を見学させてもらった。すると、そこには大きなフックに吊り下げられた巨大なイノシシが!

「内臓を取り出したあとは、そのまま1週間くらいこうやって冷蔵庫で熟成させて、皮を剥いでから枝肉にするんよ。熟成させんと美味しくないからね」(同前)