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 この頃になると先述のとおり、本番組から巣立ったクリエイターたちがおのおの独立した大ヒット・ドラマシリーズを次々に創出。それに伴い各局も’70年代のように再びドラマに力を注ぎ始め、視聴者の興味が多様化。結果、『世にも奇妙』の蒔いた種が見事に育ち、そちらに視聴者の興味が牽引されていった。そのため、それまでのシリーズよりも視聴率が振るわなかったのだ。

 ここでも石原Pを始め『世にも奇妙』のスタッフたちの先見の明が働く。当初の役割を果たした事を悟ったスタッフはいち早くレギュラーシリーズを終了。充電期間と視聴者の枯渇感がたまる年に1~2回という“〇〇の特別編”での放送スタンスにシフト。一時的な大ヒットではない、人気の普遍化・恒久化を可能としたのだ。

 日本のテレビシリーズとしては数少ない成功例のひとつで、他にドラマでは同局の『北の国から』シリーズ、『踊る大捜査線』シリーズ、ABC・テレビ朝日系の『必殺仕事人』シリーズ、アニメでは日テレの『ルパン三世』シリーズなどがこのパターンにあたる。2000年には劇場映画化(『世にも奇妙な物語 映画の特別編』)もされており、『踊る大捜査線』等他の大ヒットシリーズのノウハウもしっかり踏襲されている。

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 演出を経て長期にわたり石原Pとともに本作をプロデュースした小椋は「当たっても当たらなくてもいいから、自分たちの好きなものをやってよい、と、会社からお墨付きをもらって作れた作品。そういう意味では僕らはラッキーでしたし、つくづく良い時代でした」と、当時を振り返る。

「私的ベストワン・エピソード」をあげると…

 来る11月12日(土)放送の『世にも奇妙な物語’22 秋の特別編』には、『仮面ライダーオーズ/OOO』(2010年)でヒロイン・泉比奈を演じ、人気女優として活躍中の高田里穂も出演。自身のTwitterで「子供の頃から大好きな、あの番組に出演させて頂きます」と呟いて、この栄えあるシリーズ参加の喜びを語った。

出演についての高田里穂の投稿

 このTweetに象徴されるように、もはや親子3代にわたる大人気長寿シリーズとなった『世にも奇妙な物語』。かつて『トワイライト・ゾーン』や『ヒッチコック劇場』を作ったクリエイターたちのDNAが日本にわたり、そこで花開き、今また世界へ……そこには永遠不滅の“クリエイター魂”がしっかりと生き続けている。

 なお、筆者の私的ベストワン・エピソードは『世にも奇妙な物語~2011秋の特別編~』の「いじめられっこ」(原作:永山驢馬、脚本:半澤律子、演出:都築淳一)である。なぜって? 主演が大ファンである志田未来ちゃんだからだ。そんな楽しみ方もある作品である。