ズラータ そうですね。最近はドニプロにも増えてきて、いろいろな場所にお店があります。私の家族は誰かの誕生日とかをお祝いをする時、寿司を頼んだり、寿司屋に入ったりします。20年やっているレストランもあって、そこでも美味しい寿司が食べられます。
――どういった寿司が食べられていましたか?
ズラータ ヨーロッパ風というか、アメリカ風の寿司です。クリームチーズやサーモンが入っていたり、結構種類が多い。寿司は他の日本料理よりも有名で、ステレオタイプな日本料理のイメージになっています。
――なぜ、寿司がウクライナの方に受け入れられたと思いますか?
ズラータ どうやってウクライナに寿司が来たのかはわからないけど、自分の国にない面白い、しかも美味しい食べ物だったからだと思います。ヨーロッパの国の食べ物だとウクライナと共通点があるけど、日本の寿司は新しい味だから、受け入れられたんじゃないかな。
将来はアニメーションに関わる仕事がしたい
――今はひとり暮らしで、横浜の学校に通っているそうですね。日本での生活には慣れましたか?
ズラータ ウクライナでお母さんと住んでいるときも自分で家事をしていたけど、ここまでやるのは初めてだから、まだ正しいやり方がわからない。でも、それ以外のことには慣れてきました。
――これから大学に進学して卒業した後、日本で活動をされるのか、もしくはウクライナに戻って関連する活動を続けるのか、どちらを考えていらっしゃいます?
ズラータ 日本で就職したいと思っています。ウクライナには休みの時とかに戻って、お母さんと過ごしたいです。
――著書の中では、将来、漫画家を考えられているとありました。
ズラータ 今は漫画家も含めて、絵を描く仕事全般を考えています。日本に来たときは漫画家だけを目指していたんですが、今はいろいろな仕事をしてみたいです。
――さきほど就職と言われたので、漫画家みたいな個人のアーティストではなく、どこかに所属されるということですか?
ズラータ アニメーション会社とかを考えています。入学した学校のデザイン専攻の中にアニメーションの授業もあって、そういう仕事もやってみたいので。小さい時から絵を描くのが好きなので、それに関わる仕事がしたいです。
――今後、ご自身の戦争体験を伝えていきたいですか。
ズラータ そうですね。そういう体験は将来、作品の元になると思います。私の友達はハルキウ出身で、ロシア侵攻ではドニプロよりもっとひどい状態にあったんです。だからその話を細かく聞いて、作品に取り入れるかもしれません。でも、皆さんには物語でしかそういう体験をしてほしくないです。
撮影=杉山拓也/文藝春秋
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