『機動戦士ガンダム』のマンホール6枚が、北海道の最北端3市町(稚内市、豊富町、天塩町)に設置された。マンホールを誘致した豊富町役場職員・山形雅弘氏は、曾祖父の代から豊富町で暮らす、生粋の豊富人だ。
地元で生まれ育ち、地元で働く。そのことに迷いはなかったが、「豊富が好きだからこそ、嫌いな気持ちも確かにありました」と山形氏は話す。その理由は、アニメやゲームに絡むものだった。地元に複雑な思いを抱きつつ、町に奉職した山形氏の思いに迫った。(全3回の3回目/1回目を読む)
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町職員が「マンホーラー」になるまで
──豊富町のマンホールグッズの中でも、目をひいたのはTシャツです。マンホールTシャツ、すごく目立つデザインですよね。しかも、色違いで4種類もあって。
山形 私がマンホールに関心を持つようになったのは、2010年に役場に入ってからです。入職以来ずっと「上下水道係」ですが、配属当初はどんな仕事をする部署か、全くわかりませんでした。
──では、上下水道係を12年間続けるうちに、マンホール愛に目覚めた?
山形 はい。下水道は、「汚い」「臭い」などマイナスイメージを持つ方が多いですが、生活に欠かせない大事なライフラインです。そして、地上の人々と地下の下水道をつなぐ役割を担うのが、マンホールです。
──確かに、おっしゃる通りです。
山形 これに気づいてから、私のマンホールへの意識も変わっていきました。
2016年には、下水道広報プラットホーム(GKP)が自治体と協力して、全国のマンホールを図案にした「マンホールカード」の配布を始めたんです。
そのリストを見るうちに、「マンホールは下水道のフタの役割だけでなく、その絵柄がご当地のさまざまな特徴を表現している」と知り、本当にすごいものだなと感銘を受けまして。以来、マンホールの魅力にますますハマりました。