公務員らしくない「公務員」
──今気づきましたが、奥にある山形さんの机も、大変なことになってますね。ガンダム、ドム、ポケふたのラバーキーホルダー、ステッカーにポストカード……立派なコレクターですね。
山形 恐縮です。
──先ほどの伺った豊富ガンダムオリジナルストーリーといい、お仕事とはいえ、公務員の方がここまでされるのは、なかなか珍しい印象です。
山形 はい。私が自ら言うのも恐縮ですが、凝り性といいますか、かしこまっていないという意味では、あまり公務員らしくない公務員かもしれないです。
──山形さんはアニメやゲームがかなりお好きなようですが、なぜ町役場の職員になろうと思ったのでしょうか。もともと豊富町のご出身ですか? それともIターンなどで就職を?
山形 私は曾祖父の代から豊富町です。小中高と豊富町の公立に通い、高卒で役場に入りました。
──生粋の豊富人なんですね。
山形 生まれたときからずっとここなので、やっぱり町のために何かできればいいな、という気持ちがありました。でも一方で、ちょっと……町長の前では言いにくい話なんですけども。
豊富が好きだからこそ、豊富が嫌いだった
──なんでしょう?
山形 私は子どもの頃から『NARUTO』や『ドラゴンボール』、『魔法陣グルグル』など、アニメやゲームが大好きで。豊富町に愛着があり、好きである一方で、「豊富町にアニメの文化がないのはつまらない」と思っていました。その点においては、豊富町が嫌いだったのは事実なんです。
──好きと嫌いが混在していたんですね。
山形 ええ。都会の方には想像できないかもしれませんが、豊富町にはいわゆるおもちゃ屋がなく、ゲームの大会もありません。
私が子どもの頃は、稚内にハローマックというおもちゃ屋があり、そこのゲーム大会に参加するのが楽しみでした。近隣の大都市は旭川ですが、200kmほど離れているので、子どもが簡単に行ける距離ではありません。
テレビアニメを見ていると、よく「今度〇〇でイベント開催!」という告知が流れますよね。でも、そういう大きなイベントは旭川にも来ず札幌だけとか、北海道には来ず東名阪だけ……ということも多くて。