「外資系企業」にも日本の労働法は適用されるのか
まず、ツイッタージャパンが外資系企業であることから、日本の労働法が適用されるのかどうかという問題があります。SNS上でも、報道の当初は、「外資系企業であるから、日本の労働法は関係ない」との意見が飛び交うなど、混乱しておりました。
しかし、ツイッタージャパンは、日本で設立され、日本で登記されている日本の株式会社です。すなわち、ツイッタージャパンで勤務している従業員は、日本の株式会社と雇用契約を締結し、日本で働いている方々ですので、問題なく日本の法律が適用されることになります。ツイッタージャパンと労働者の間で、「アメリカの法律に従う」といった合意をしている可能性もありますが、その場合でも労働法は適用があると考えられています。
そのため、後述の労働基準法や、労働契約法などの法律も、ツイッタージャパンとその従業員の雇用契約に関する法的紛争には適用されることになります。
解雇における手続きとは
11月4日に、突如解雇するという通知が送られてきた場合、解雇の予告に関する手続きを守っているかどうかがまず問題になります。
労働基準法20条は、解雇をする場合、(1)少なくとも解雇日の30日前に解雇の予告をするか、(2)30日分以上の賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないと定めています。今回の場合、11月4日に、同日付の解雇を通知されており、(1)は満たさないことは明らかですので、(2)の解雇予告手当を支払っているかどうかが問題になります。
ただし、これは、解雇の手続について定めた規程にすぎませんので、これらの手続きを守っていれば、解雇は常に自由に行えるわけではありませんし、逆にこれらに違反したら直ちに解雇が無効となるわけでもありません。
「整理解雇」は、労働者側に非はない
使用者が解雇を行うには、客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要であるとされています(労働契約法16条)。つまり、使用者は解雇を自由に行うことは出来ず、恣意的な解雇は無効とされてしまうのです。
今回の米Twitter社ないしツイッタージャパンが行った解雇は、会社の財務状況の改善を理由とするものです。業績の悪化や、業務の縮小を理由とした解雇を「整理解雇」といいます。
会社の経営状況を理由とする「整理解雇」は、労働者側には非はなく、経営に関して責任を負う使用者側の都合による解雇ですので、その有効性は、普通の解雇よりも厳格に判断するべきです。