大晦日に放送される第73回NHK紅白歌合戦の出場歌手がきょう11月16日、発表された。白組では郷ひろみ(67歳)が35回目の出場を決めた。郷は今年でデビュー50周年とあって、早くから出場が確実視されていた。35回は白組歌手では歴代5位の出場回数で、紅組の歴代3位である島倉千代子と並んだ。
初出場は18歳のとき
郷の紅白初出場は、デビュー2年目の1973年。先輩歌手たちに肩車されながらステージに登場すると、フリフリの衣装でデビュー曲「男の子女の子」を歌った。対戦相手は同じく初出場のアグネス・チャンだった。ちなみにほぼ同時期にデビューした男性アイドルで、郷とともに「新御三家」と称された野口五郎はこの前年、西城秀樹は翌年にそれぞれ初出場を果たしている。
当時18歳だった郷にとって初出場は印象深く、のちに《当時の〈紅白〉は演歌の人たちが多く、僕から見れば大人ばかりでした。だから安心できたし、みなさんにバックアップされて歌ったという記憶があります。緊張感? 全然なかった。僕はもともとアガッたり、緊張したりすることがないんです(笑)》と振り返っている(『ステラ』2002年1月4日号)。
中性的な美貌、個性的な声で人気を得た郷はこれ以後、毎年のようにヒット曲を出し、紅白にも1985年まで連続して出場する。この間、成長にともない「マイレディー」(1979年)や「How many いい顔」(1980年)など、しだいに大人びた曲も目立つようになる。前者は民放のドラマの挿入歌、後者は化粧品のCMのイメージソングである。NHKは従来、そういった曲を敬遠してきたが、このころになるとタイアップによりヒットする曲も増え、紅白でも認めざるをえなくなっていた。
すでに70年代前半からフォークやロックが台頭し、紅白でもいわゆるニューミュージックの歌手の出演が関心の的となった。こうした音楽界の変化に加え、人々の年末年始のすごし方も多様化するなか、60年代以降、70%台でほぼ推移してきた紅白の視聴率が、1982年に69.9%に落ち込んだ。これを境にテコ入れが図られる。そのなかで歌手の恋愛や結婚、引退などワイドショー的な話題も積極的に演出に取り込まれ、ショーアップがなされた。それがピークに達したのが1984年である。