そんなわけで、Twitter社が10月28日、イーロン・マスクさんに買収されてしまいました。
お値段、440億ドル(約6兆4500億円)ですって。
この半年間、さらに採算が悪化していたTwitter社
今年の4月にマスクさんが買収宣言をして以降、すったもんだの挙句に半年引っ張って買収が終わるや直接Twitter本社に乗り込んでいって経営陣や幹部社員などグローバルの従業員の半数を速やかに解雇。
というのも、直近21年12月期の連結最終損益は、2億2140万ドルの赤字(約330億円)であり、この半年間はさらに採算が悪化していたこともあって、マスクさんが社員に対してハッパをかける意味でも「(Twitter社の)倒産の可能性」に言及する一方、奔放な言動で有名なマスクさんの経営手法に懸念を感じた関係各社がTwitterから広告を引き揚げる動きを見せるなど風雲急な状況にあります。
それもあって、月額8ドルの「Twitter Blue」など月定額(サブスクリプション・サービス)の提供へとシフトを進めるマスクさんが、Androidでのサイト読み込みが遅いと不満を漏らしたり、一方でアメリカの反トラスト当局(FTC)との間で取り決めた合意事項に違反しているんじゃないか疑われたりと、とにかく話題には事欠きません。
日本の偉い人が議論している、SNSを含むネットの健全性
日本での状況を見てみると、実は日本で使われているSNSという点ではLINEに次いで2位の4800万人から約5000万人程度というメジャーなサービスで、また、Twitter社にとっても日本はアメリカに次ぐ利用者数を持つ第2位のマーケットであることが分かります。匿名掲示板をネット黎明期に持ち、陰口を言わせたら世界でも有数な我が国の文化にTwitterはぴったりとマッチしたと言えましょう。
他方で、編集長に古田大輔さんを迎えた日本ファクトチェックセンターの立ち上げに代表されるように、ネット上に流れるガセネタや陰謀論、程度の低いヤフコメなど問題投稿の渦をどう処理するべきか、偉い人が議論している状況にあります。特に、Netflix(ネットフリックス)「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さんが、SNSでの誹謗中傷を苦にして自殺してしまった件もあり、TwitterなどSNSを含むネット空間全体の健全性(インフォメーションヘルス)をどうにかしようという政策的機運が持ち上がっていました。
そこで、総務省の有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」(座長は宍戸常寿さん)では各種SNSのガセネタや陰謀論のような中傷、情報商材や児童ポルノなどの問題について議論し、政策に反映させていく予定でした。ところが、この会議で呼ばれたTwitter日本法人の人が「開示する理由を議論されていないまま、開示することを求められているような気がします」などと言い出し、要するに法律による開示命令もないのに政府議論のために何故情報を開示しなければならないのかと喝破したわけです。
ネットでの誹謗中傷やフェイクニュース、総務省が規制に本腰…背景を探る : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/science/20220708-OYT1T50126/