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「シャドウBAN」は大統領アカウントを隠すための苦肉の策

 そしてこの「シャドウBAN」、公式にはそのような機能は存在していないとTwitter社も公言しておるわけなんですが、実際には「Twitter利用者の『ランク付け』をしている」というていで機能が実装されていることは、各種シャドウBANチェッカーで確認可能です。ただ、一説にはTwitterの日本語圏でしか行われていない特殊なBANの形態もあるようで、きちんとした調査が入らない限り外部からは詳細は分かりません。

 なぜシャドウBANが問題になったのかと言えば、前述した俺たちの米大統領トランプさんがTwitterで盛大に陰謀論をブチかましていることへの対応に苦慮したTwitter社が、まさか理由を明示せずに大統領のアカウントをBANすることなどできませんので、苦肉の策としてトランプさんの妄言を拡散出来ないようにして人の目につかないようにする機能を実装したからです。後述の通り、実際には誹謗中傷の山となっているヤフーコメント(ヤフコメ)でも、ヤフー側が問題だと思うIDの人による書き込みが第三者には見えない「独り相撲モード」が同様の仕組みで搭載されています。

 当然、これらは民間企業による理由なき私的な事後検閲にあたるものであり、各州司法当局の承認があってトランプさんのツイートを見えなくするという手続きも踏みませんので、言論の自由という民主主義の根幹を考えれば非常に非常に非常に非常にデリケートな問題だったと言えるわけです。

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プラットフォーム事業者は公共性のあるサービスを実施している

 翻って、トランプさんと同列にされかかった私と火鍋チャンネルについて言えば、いずれも「明確な理由なく、Twitter社がBANしたり、つけられたランクを下げたりする」ことについてはツイートなど情報の流通における透明性の問題があると言えます。

「民間企業なんだから、どんなツイートが好ましいと判断するかは自由だろう」とTwitter社が言いたがったのが上記総務省での噴飯ものの反論の一コマですが、プラットフォーム事業者は公共性のあるサービスを実施しているのだから、お前らの判断で勝手にツイートを削除したり、アカウントを見えなくしたり、BANして発言の機会を奪うのは違法の疑いのある不適切なものなんだよ、分かっとるのか、ということです。

 プラットフォーム事業者やそれに準ずるTwitter社が、上位表示したりしなかったりするのは利用者の利害に大きく影響するものです。ましてや、冒頭にも書きましたがTwitterは日本で2番目に普及しているSNSで、最大5000万人が使っているのです。

 例えば、先日地裁判決が出た韓国料理チェーン『韓流村』と飲食店紹介アプリ『食べログ』(カカクコム)との間で行われた裁判において、『食べログ』での広告を取りやめた『韓流村』の飲食店スコアが有意に減らされ、韓国料理や焼き肉などのカテゴリーで上位表示されなくなったのは優越的地位の濫用にあたり、独占禁止法に違反するという反トラスト状態が認定されました。今年控訴され、高裁での判断を待つところです。EUでもGoogleに対し、自社サイトを他社比較サイトよりも検索エンジンなど自社サービスで有利な上位位置に表示したのは欧州競争法違反(日本での独占禁止法)だと認定し、24億2000万ユーロ(当時レートで約3200億円)という多額の課徴金を課したことと同じです。