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イーロン・マスクさんに買収されたTwitterは、“公平なプラットフォーム”になれるのか

2022/11/16
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裏側で動いているアルゴリズムやルールは適切か

 ここで問題となるのは「透明性」です。Twitterも多種多様なフェイクニュースほか有害情報を回避する仕組みを作っているのは間違いないものの、今回のように、何が問題で、どういう理由でいかなる措置が行われたのか明示されない限り、利用者は勤労人口の半分以上が使う公共的なサービスであるTwitterの利用から不当に排除されることに他なりません。

 同様に、プラットフォーム事業者と公益性、公平性、透明性の問題は非常に緊張関係にあります。例えば、GoogleやBingなど検索エンジンでの上位表示の仕組みに本当に公平性が担保されているのか。ヤフーニュースなどポータルサイト、ニュースアプリなどで掲示される記事の選別で、編集部やキュレーションチームなどの関係者がどういう線引きで記事を選んでいるのかが明示されていない問題は残されています。

 利用者や顧客からすれば便利なサービスだと認識されているものであっても、その裏側で動いているアルゴリズムや人力でのルールが適切なものであるかどうかは誰にも分かりません。公開されていないから(=透明性が確保されていないから)です。

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マスクさんが「世界の情報源として圧倒的に正確になる必要がある」

 ましてや、今回のTwitter社では、日本法人が立ち上げたキュレーションチームについて、各メディアのネット担当者が口を揃えて「Twitter日本法人が自称しているキュレーションチームには、メディア運営でデスククラス以上の経験者がいなかったのではないか」とか「Twitter日本法人から渡された『Curationの仕組み』という資料はポエムのような内容で、ガイドラインどころか中身が何もない内容だった」などの酷評が多数寄せられています。おそらくは偏向報道をするとか以前に、きちんと機能していなかったのではないかと推測されます。

 このような体制なのですから、そりゃあTwitterでの誹謗中傷は減らず、まともな情報が流れなくても仕方がなかったのかもしれません。

 そんな惨状でしたので、マスクさんが「Twitterは世界の情報源として圧倒的に正確になる必要があり、それこそが我々の使命」と宣言したのも理解できます。多額の赤字を垂れ流して、日本で2021年の誹謗中傷相談件数トップのサービスであるところからいかに早く脱却し、適切な情報流通の仕組みにできるのか取組を加速しなければならないでしょう。これはもう綺麗事ではなく、いますぐしなければならないアプローチのはずなのです。