「たしかに昨年よりは多く、やや増加しています。しかし、認知件数は、他県と比較しての数値を評価の対象にしていません。県としては、どの学校でも起こりうるとして積極的にいじめを認知するように学校に指導しています。子どもや保護者向けのいじめアンケートの内容や回数は、学校の裁量に任せています」(愛媛県)
さいたま市(13.1)は、政令指定都市別で最少になった。
「もちろん、見逃しているいじめがあるのは否定できません。ただし、『いじめ撲滅強化月間』を設けるなど、市としてはいじめの未然防止に努めています。また、アンケートは学期の頭に行なうなど、年3回は必ず行なっています。学校によっては月毎にアンケートを実施しています。それ以外にも長期休暇の前には、いじめ限定ではないが、学校生活上の悩みを聞く機会を設けています」(さいたま市)
同調査では「解消率」についても公表している。いじめが「解消している状態」というのは、(1)いじめが止んでいる状態が相当の期間(少なくとも3ヶ月を目安とする)継続していること、(2)被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと――の要件が満たされていることを指す。
解消率がもっとも低いの政令指定都市は…
解消率が都道府県と政令指定都市あわせて高いのは北九州市(97.2%)。
「いじめの認知件数が減少しました。コロナ禍で、他の自治体と比べて、オンライン授業を多く行いました。そのため、直接的に人との関わりが減ったために、児童生徒間のトラブルも減少したと思われます。少なくとも、学校では学期ごとのアンケートをしています。
また、教育委員会としては9月に、全市一斉のアンケートと全員面談をしています。これは、アンケートで気になる児童生徒だけでなく、全員の面談をすることで、特定の子に何かがあると悟られないメリットがあります。このアンケートと面談は、10年近くしています。いじめ防止対策推進法ができたというのは大きいです」(北九州市)
一方、解消率がもっとも低いのは名古屋市(55.4%)だ。
「いじめの行為が3ヶ月止んでいることで『解消』になりますが、その時点で本人や保護者に苦痛を感じていないかを確認しています。加害児童生徒から謝罪があったり、指導がなされた後も確認するように学校に指導をしています。