ただし、簡単に解消せずに、慎重に判断しています。その後も経過を見ることも大切です。他の自治体と比べずに、絶対評価で判断すると、それらのことを学校に周知し、積極的に対応をしていきます。解消率は年々下がっていますが、学校によっても実態が違い、ケース・バイ・ケースで判断しなければなりません」(名古屋市)
ついで低いのは千葉市(60.0%)だ。
「場合によっては、3ヶ月よりも長い期間、より丁寧に子どもの様子を見ているということで、解消率の数値が上がっていません。もちろん、本人および保護者にも心身の苦痛があるかどうかを確認して、解消の判断をしています。なるべく解消に向けて、事実確認をして、再発防止していきます。管理職が若返っていますので、いじめの定義など管理職が知らないといけないことについて、研修に力を入れています」(千葉市)
北海道のいじめ解消率が高い背景
都道府県別でいうと、「解消率」最多は北海道(95.3%)だった。
「いじめの積極的な認知は、いじめ対応での重要な第一歩。認知率は他の自治体と比べるとやや低いが、全教職員が法令による定義を再確認することや、認知件数がない場合は、児童生徒や保護者に公表し、検証をあおぐことをしています。道としてのアンケートを年2回、そのほか、各学校で独自のアンケートを行なっています。
解消率が高いことは、いじめの早期発見・早期対応ができていると受け止めています。解消率が高い背景としては、小中学校で指定する『中1ギャップ問題未然防止プログラム』をし、居場所づくり・絆づくり・環境づくりを進めています。また、高校でおこなっている『高校生ステップアッププログラム授業』を行い、人間関係を形成する力、コミュニケーション能力の育成もしています。さらには、校内研修でいじめに対する教職員の指導力向上を図っています」(北海道)
ちなみに、「中1ギャップ」という用語には定義はない。小6から中1にかけていじめや不登校が急増するように見えていることから、一部で使われることがある。
いじめに関係する児童生徒の増加
都道府県単位での「解消率」最小は静岡県(65.3%)となった。
「文科省も言っているように、いじめの認知=学校が丁寧に子どもに関わった証の数字としています。今後もいじめの認知を伸ばしていこうと思っています。いじめの解消の捉え方としては、加害児童生徒が謝罪をして、解消というわけではなく、いじめられた子の気持ちや考え方にそって、見守っています。