理由1:そもそもゲームが安定して動かないパフォーマンスの問題
『ポケモンS・V』はパフォーマンス(ゲームの描画処理など)に問題を抱えており、さまざまなレビューはもちろん多くのユーザーからもそれを指摘されている。
具体的にはフレームレートの低下が激しい。テレビゲームは1秒の間に30~60程度の静止画を連続で表示して動画を見せており、このフレームレートが高ければ高いほどなめらかな映像が見られるようになっている。
『ポケモンS・V』はオープンワールドになって多くのポケモンを描写する必要があるからか、このフレームレートが非常に低下しやすい。雨が降ったり草が多い場所に行くとフレームレートが落ち、プレイヤーはゲームそのものが遅くなったかのような印象を受ける。
伝説のポケモンに乗って高速で移動しているはずなのに、水中にいるかのように思うように動けない。筆者が体験した限りでは、むしろこういう状況にならないときのほうが珍しいような状況で、ストレスになるのも当然である。
また、描画範囲が非常に狭い。たとえば遠くにいるポケモンの動きを簡略化するなどして処理を軽くするテクニックはほかのゲームでも活用されるのだが、『ポケモンS・V』の場合はこれを明らかにやりすぎな状況だ。
学校の教室にいる生徒たちは動きが簡略化されすぎてカクカクになっているし、街中では人が急に消えたり現れたりする。フィールドも高速で移動するとポケモンの出現が間に合わず数が極めて少なくなったりと、明らかな違和感を生むほど描写を省略しすぎなのである(おまけに、そこまでしているのにフレームレートが低くなりやすいのだ)。
バグも多く、エラー落ちしてゲームが強制終了するのも珍しくない。おまけに現在は、ポケモンや道具の増殖バグが見つかったのではないかと騒ぎになっている。ポケモンは通信対戦・交換といった要素もあるので、それらを増やせてしまう不具合は大きな問題なのだ。
もともとオープンワールドのゲームは広大な世界を作らなければならない以上、バグや不具合は発生しやすいものである。それ自体に目をつむることは難しくないものの、パフォーマンスの低さは目に余る。オープンワールドのゲームは遠くのキレイな景色を眺めるのも楽しみのひとつなのに、『ポケモンS・V』はその景色の描写が極めて大雑把なのだから。