理由2:オープンワールドだけど不自由

 従来のポケモンは基本的に一本道で、攻略する順番は固定されているケースが多かった。『ポケモンS・V』は広いフィールドを自由に冒険できるわけで、いきなり好きなところに行けるのだ。

『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のスクリーンショット。画像は任天堂公式サイトより

 しかし、これは半分くらい嘘である。たしかにフィールドのどこにでも行けるのは事実なのだが、どうやって進めるのかはほとんど固定されている。

 フィールド上には強いポケモンが出てくる場所もあるので、そこに行って捕まえればいきなり最強になれる……わけではない。レベルの高いポケモンは言うことを聞かないので、仲間にしたとしても戦力にはならないのだ。

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 それを解決するには各地にあるジムを攻略してジムバッジを入手する必要があるのだが、そのジムに出てくる敵のレベルも固定されているので、必然的に簡単なところから挑戦していくようになる。

 結局のところ、オープンワールドになってもほとんど道順が決まっているようなものなのだ。とはいえ、これはデメリットばかりではない。世界中の多くのプレイヤーが遊ぶポケモンのようなゲームは、わかりやすさも非常に重要だ。ただ広大な世界に投げ出されただけでは、何をしていいのかわからずにやめてしまう人が出てくる可能性も高い。ゆえに道筋を描いておく必要がある。

 また、広いフィールドを探索できるのは事実である。提示された目的を無視して、好きなポケモンを探しに行くのも十分ありだ。これは従来のポケモンではできなかったことといえる。

 とはいえ、メリットが少なく感じられるのも否定できない。なぜならオープンワールドのゲームは世に出て15年以上も経っているのに、『ポケモンS・V』はその魅力を活かしきれていないからだ。そしてユーザーも、本当に自由な冒険をすでに体験している可能性が高い。