イラスト 中村紋子

 受験シーズン到来ね。でも、受験生の背中に冷や水を浴びせるようなニュースが。国立の名門、大阪大学の昨年度の入試で出題・採点ミスがあったと判明。外部から指摘されていたにもかかわらず、大学が適切な対応を怠ったとの報道に、新年早々怒り心頭よ!

 昨年六月と八月にミスを指摘された際、対応したのは問題作成責任者と副責任者の当事者二人のみ。学内で情報共有がなされなかったことが最大の過失ね。十二月、三度目の指摘でようやく他の教員を交えて精査しミスが判明。六月の時点で適切な措置をとっていれば、後期から入学が可能だったかもしれないのに……。

 第一志望の大学に落ちた学生は目を見ればわかる。入学して数ヶ月は、授業や大学生活へのモチベーションが第一志望の大学に入学した学生とは明らかに異なるの。阪大は追加合格者に対し経済的な補償も検討しているというけれど、彼らにとってのこの一年間の重さを理解し、今後の大学生活の中でもそれぞれに寄り添ったケアをしてほしい。

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 もちろん、入試では絶対にミスのないよう、大学が事前確認を徹底すべきであることは言うまでもない。けれど、人間の思い込みというものは怖くて、複数の目で厳重に確認しても、残念ながらミスが生じることはある。ボクが法政大学で作問委員を務めていた時も、第三者のチェックで事前に間違いが判明し冷や汗をかいた記憶がある。

 また、問題作成が教員にとって大きな負担であることも確か。作問・採点は一年がかりで責任も重大。委員に任命されないよう気配を消して逃れる先生もいるワ(笑)。今後、大学入試改革が進めば、作問や採点の業務量はより増大する。どの大学もミスは起きうる前提で、受験生への影響を最小限に抑えるシステムをつくるべき。受験生みんなが安心して全力投球できる入試にしなければいけないわね。