俳優としても活躍するネプチューンの原田泰造さん。『ミッドナイト・バス』でも主人公を熱演しているが、そのメガホンをとったのは、彼の初主演映画『ジャンプ』(04)の監督・竹下昌男さんだ。

「監督とは『ジャンプ』以降、ずっと連絡をとっていて、『新作を撮るなら出なくちゃ』と勝手に思っていたら、監督から1冊の小説を渡されました」

 伊吹有喜による同名小説は、家族の物語と大人の恋愛模様を編み上げたヒューマンストーリー。主人公の高宮利一は、新潟に暮らす40代後半のバツイチで、1男1女の父親だ。長距離夜行バスの運転手として、新潟市と東京・池袋を頻繁に行き来している。

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「監督から『主演の利一役だよ』と言われて超嬉しかったけど、プレッシャーもすごかったです。監督に『どうしたらいいですか?』と相談したら、『じゃあ、大型免許を取って』と言われたので、教習所に通いました(笑)」

 利一は、東京で定食屋を営む年下の恋人・志穂(小西真奈美)の未来に責任がもてず悩んでいる。そんな折、やむを得ず離婚した元妻・美雪(山本未來)と16年ぶりに再会し、距離が近づいていく。

「利一は肝心なことを口にできない、不器用な人。志穂に対して煮え切らない態度をとるのも、真面目で慎重だからだと思います。僕みたいにできちゃった結婚をして、流されて生きてきた人間とは大違い(笑)。あと、基本的にモテるところが羨ましい。東京では“男”、新潟では“父親”という生活も、楽しいだろうなと思いました」

 美雪や志穂と一対一で対峙する“男と女”のシーンは印象深い現場だったという。

「完成した映画を観たら、そういうシーンに限って自分の顔が映っていないことにびっくり。壁に顔が隠れていたり、背後から撮られていたりと、アングルがすごく新鮮でした。でも、俺もいい表情していたと思うんですけどね(笑)」

©2017「ミッドナイト・バス」ストラーダフィルムズ/新潟日報社

 約1カ月間にわたり、新潟ロケを行った。新潟の冬景色が登場人物の心情を映し出す。

「新潟のファンになりました。冬の日本海はさみしげな感じが絵になるし、雪と白鳥のシーンもいい。佐渡島に渡るフェリーの上では、雨が止んだ瞬間にカメラを回したら、雲間から後光のような光が差すというミラクルが起きました」

 約1年前の撮影を、詳細かつフレッシュに語ることができる理由は、実はすでに7~8回も鑑賞しているから。

「自分が映画に出ていることが嬉しいし、映像がきれいでテンポが心地良いから何度も観ちゃう。早く映画館でお客さんと一緒に観たいです(笑)」

 利一と同世代の、1人の男性として思うところは?

「僕は希望を感じました。登場人物全員が、家族としても個人としても前に進んでいく、いいストーリーだと思います」

はらだたいぞう/1970年東京都出身。お笑いトリオのネプチューンとして人気を博す。俳優としては、NHK大河ドラマ「篤姫」、「龍馬伝」、「花燃ゆ」などに出演。2017年は『アウトレイジ 最終章』やドラマ「全力失踪」(NHKBS)に出演した。3月にNHK特集ドラマ「どこにもない国」が放送予定。

INFORMATION

『ミッドナイト・バス』
1月27日(土)より有楽町スバル座ほか全国公開。
http://midnightbus-movie.jp/

構成:須永貴子