「シンキングタイム、スタート!」

 複数の真実の可能性を巡り、生放送の推理クイズ番組で解答者が推理合戦を繰り広げる“多重解決ミステリー”小説『ミステリー・アリーナ』(深水黎一郎著)が堤幸彦監督によって映画化された。緻密で完成度が高く、映像化不可能と言われた同作の脚本化は難航し、決定まで26稿に及んだという。

「原作がある場合、映画の脚本に様々なアイデアを盛り込んだり、あるいは変化球を投げたりすることが原作者やファンの方々に対して礼を尽くすことになると思います。深水先生は我々“地上”の者、普通の発想の人間を高みから見下ろして弄って遊ぶような“神の視点”に近い方。脚本化は極めて難易度が高かったです」

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堤幸彦さん ©Yusuke Uchida(Ucci)

 クイズ番組の司会・樺山桃太郎を演じるのは唐沢寿明。「嵐の中、孤立した洋館で起きた殺人事件」の解明に挑戦するのは、閃きの天才少女(芦田愛菜)や直感の勝負師(鈴木伸之)、伝説の初代王者(玉山鉄二)、データ分析のシン人類(奥野壮)、理論の先駆者(野間口徹)、博識のミステリー女王(浅野ゆう子)の6名。正解すれば100億円、間違えば恐ろしいリスクが待ち受けている――。

「ミステリーマニアがそれぞれ考える解答全てに反論が用意されています。そして、最後には大きなどんでん返し。言うは簡単ですが、書くのは難しい(笑)。深水先生がどうプロットを作っているのか本当に気になりますね。そもそも完全犯罪や密室というものは物理的には存在しないもの。それをあり得るものとして構築することは、数学や物理学の解を求める行為に近い気がします」

 物語のキーマンとなる樺山役には、最初から唐沢をイメージしていたという。

「唐沢さんは基本滅茶苦茶真面目な方なんですよ。でも、ジョークはなかなかにキツい。『結構言うよね!』という発言をよくなさる。とはいえ、毒を吐いているようで、実は優しいんですよね。唐沢さんのそういうアンビバレントな性格が大好きなんです。衣装合わせの時、唐沢さんに銀のタキシードを着てもらったら、彼の毒の面が見事に出まして、ご本人が『髪型はもうアフロだよね』と。樺山のキャラクターはそうして決まっていったんです。

 ケバい音楽に合わせて、樺山がスタッフと一緒にギラギラ踊る――原作にも、脚本にも、そんな設定はなかったんですけどね(笑)」

『ミステリー・アリーナ』/配給:松竹/117分 ©2026 Amazon Content Services LLC or its Affiliates. All rights reserved.

 唐沢と同じく、本人を想定して描かれたのがIQ180の天才少女・一子だ。

「芦田さんの品の良さと純粋さは誰にも真似できないですよね。まぁまぁキツいことをやって頂いてるんですけど、一生懸命取り組んでくれて、『この魑魅魍魎が無数にいる芸能界にこんな清廉潔白な人がいていいのか!』と思うくらい、まっすぐで裏表のない方です。それをもし演じていらっしゃるなら天才ですね(笑)」

「クイズ番組パート」と「洋館を舞台にした推理小説パート」の異なる2パートが楽しめる今作。堤監督のお気に入りのシーンは?

「ラストシーンですね。これは原作にはなかったシーンなんですよ。全体的に緻密に計算されていますが、その流れを断ち切るようなエンディングを唐沢さんと考え付いてしまったので。何かは言えませんが、期待していて下さい(笑)」

つつみゆきひこ/1955年生まれ。愛知県出身。『TRICK』『SPEC』『池袋ウエストゲートパーク』などのドラマを手がける。2015年、映画『イニシエーション・ラブ』『天空の蜂』で報知映画賞監督賞受賞。今秋の第20回アジア競技大会(愛知開催)で開閉会式の総監督を務める。

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映画『ミステリー・アリーナ』
5月22日より全国公開
https://movies.shochiku.co.jp/mysteryarena-movie/​

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