キッズ本人と保護者の双方と連絡をとりながら保護活動を行っているが、民間組織の“保護”には法律上の限界が伴う。
「私たちは民間団体なので、未成年の“保護”のつもりであっても深夜に一緒にいれば条例で“誘拐”になってしまい、23時以降は付き添いができません。トー横の問題を解決するには、『歌舞伎町に行けばなんとかなる』とやって来る子供たちが犯罪に巻き込まれず過ごせる施設を、公的な機関が用意する必要がある。家出少年少女が歌舞伎町に来るなんて、トー横以前の何十年も前からある話ですから」
現在の広場には区の委託を受けた警備員の姿が目に付くが、違法客引きの防止を目的にした警備のため、キッズたちに対してはほぼ不干渉だ。キッズが飲酒していたり喧嘩が起きても止めに入る様子はなく、呆然と遠くから見守るばかり。「キッズたちは彼らが何もできないことを知っており、警備員に『のび太くん』とあだ名を付けてバカにいる人もいる」(歌舞伎町関係者)という。
「放っておけばいい。2、3年経てば奴らは消える」
これほどキッズたちが関わる傷害致死事件や飛び降り自殺が大きく報じられても繁華街関係者の反応は鈍く、「歌舞伎町ではよくあること。放っておけばいい。2、3年経てば奴らは消える」と意に介さない住人も多い。一方、警察・行政サイドにとって“トー横対策”は喫緊の課題になっている。前出の歌舞伎町関係者はこう話す。
「広場に持ち込まれた荷物を撤去するために新宿区の職員が説得するなど、居座りを防ぐための“対策”はこれまでも行われてきましたが、十分な成果はあがっていません。毎週火曜日の定期清掃で害虫駆除を理由に臭いのきつい薬剤を撒いたり、夏には水撒きをしたりと“追い出し”に近いことまでやっています。そして11月18日にはついに区が重い腰を上げ、広場に置かれた布団や椅子などの一斉撤去を行いました。それでも人が減った様子はありませんね」