たとえば、「ナイト」は味方をかばうことができるジョブだが、それに回復ができる「白魔道士」のアビリティをつけると、“回復もできるナイト”が完成する。あるいは攻撃魔法が使える「黒魔道士」に白魔道士のアビリティをつけるとさまざまな魔法が使えるキャラクターになったりと、20種類以上あるジョブから多様な可能性が見出せたわけだ。
また、ジョブごとに用意された特性も豊富。「忍者」が武器を投げると大ダメージを与えられたり、役に立たなそうなアイテムも「薬師」が調合するととてつもない効果を生み出したりと、ふつうにクリアしただけでは知るよしもない要素すら用意されているのだ。
このジョブチェンジ・アビリティシステムはその後の「ファイナルファンタジー」シリーズにも影響を与えたし、現代でも「ブレイブリー」シリーズなどに息づいている。まさしくエポックメイキングだったわけだ。
そして、この可能性の幅広さから多くの“やりこみ”が行われているのも『FF5』の特徴だ。
「レベル1でクリア」を可能にする戦略の多様性
ふつうのRPGであればレベルを上げて徐々に攻略していくわけだが、『FF5』は低レベルクリアが可能になっている。強制的に経験値が入る場面もあるが、全員のレベルを一桁でクリアするプレイヤーがいるのはもちろん、レベル1のキャラクターひとりだけでクリアなんてことを達成している人もいるのだ。
実は、これはある程度は意図された仕様である。『FF5』はボスを倒しても経験値が入らない(レベルアップしない)作りのため、わざとレベルを低くできるようになっている。そして、奥深いバトルシステムを存分に楽しめるような仕掛けが用意されているのだ。