里見香奈女流五冠と西山朋佳女流二冠による女流棋界の頂上決戦も、先日の倉敷藤花戦で一区切りを迎えた。里見が三番勝負の第2局で勝って、倉敷藤花防衛を果たした。この第2局は、今年度における里見―西山戦の23局目となる。

 年度同一カード23局は、2000年度の谷川浩司十七世名人-羽生善治九段戦、05年度の羽生九段-佐藤康光九段戦と並ぶ、最多タイ記録だ。

第15期マイナビ女子オープン第5局。西山(写真右)が5連覇を果たして「永世女王」に輝いた ©相崎修司

8棋戦中5棋戦での同一カードも新記録、里見ー西山戦

 現在、里見と西山に出場資格がある女流棋戦は8棋戦。仮に全棋戦でぶつかったとしても、それが予選ならば対局数は8にしかならないわけだから、両者がともに勝ちまくってタイトル戦でぶつかったが故の結果である。

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 まずは今年度の両者の対戦を見てみよう。

©文藝春秋

 実に8棋戦のうちの5棋戦で両者による直接対決が行われた。年度5棋戦の同一カードも新記録である。

 そして、直接対決以外の棋戦でも、清麗戦は両者による挑戦者決定戦を制した里見が加藤桃子女流三段を破り清麗奪取、里見が保持する女流王座戦では西山が挑戦者決定戦で加藤に敗れ惜しくも挑戦ならず、女流名人リーグでは1敗同士の直接対決を制した西山が伊藤沙恵女流名人への挑戦権獲得。この両者が極めて高いレベルで競っていることがわかる。

背景に、相次ぐ女流棋戦の創設

 年度23局の記録が誕生したのは両者の実力もさることながら、ここ数年において女流棋戦が相次いで創設されたのも大きい。

 例えば、女流棋界で唯一100番指しを達成している清水市代女流七段-中井広恵女流六段のカードを見ると、同一年度では1996年度の11局が最多である。

 当時はタイトル戦として女流名人戦、女流王位戦、女流王将戦、倉敷藤花戦の4棋戦があり、他にトーナメント棋戦としてレディースオープントーナメントと鹿島杯の2棋戦があった。96年度の清水-中井戦は女流王将戦と女流名人戦の2タイトル戦及び、レディースオープントーナメントで実現した。タイトル戦はいずれも3勝2敗で清水が勝っている。特に女流王将戦では史上初の女流四冠独占が実現し、話題となった。またレディースオープントーナメントでは、清水を破った中井がそのまま勝ち進み優勝している。