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「こりゃ、死んでしまう」21歳女性に性的暴行の限りを尽くし…「ルーシー事件」犯人を追い詰めた“刑事たちの執念”

『刑事たちの挽歌〈増補改訂版〉 警視庁捜査一課「ルーシー事件」』

2022/12/09

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 読書

note

 捜査本部による家宅捜索では、褐色瓶を数多く押収している。ラベルが剝がされているものも、その中にあったはずだ。立会いを求められた家宅捜索で目にした記憶が確かにある。

 科捜研に問い合わせてみると、鑑定中の瓶にそれは混ざっていた。内容物はクロロホルム。

 現物を手に取った服藤は、ラベルを剝がす際、ガラス瓶に残る糊の跡に目を奪われた。

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「指紋と同じかも……」

 糊の跡を画像としてコンピュータに取り込んで解析してみると、特徴が映像の瓶に一致した。点と点が線になった。これらを科捜研に回して詳細な鑑定を依頼する。

 服藤の“発見”は、科捜研の鑑定でも裏付けられた。

ついに判明した、カリタさんの死因

 織原が被害女性たちに用いていた薬物はこれでほぼ特定できた。次の課題は死因の解明だ。服藤はまた有働に呼ばれた。

「カリタの件なんだけど、彼女はどうやら劇症肝炎で死んでいるらしいんだよ。服さん、どう思う?」

「確か、クロロホルムには急性、慢性を含めて肝臓毒性がありますよ」

「ほっ、本当か?」

「クロロホルムの肝臓毒性は、毒物の勉強をしている者なら常識的に知っていますよ。劇症化するかどうかは調べてみますが、たぶん間違いないと思います」

「ありがとう。これでいける。逮捕状が取れる」

 椅子から立ち上がって服藤の手を握り、喜びをあらわにした有働だったが、その目には涙が光っていた。